ビジネスにおける地図の活用事例集
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水色ドット:顧客の分布青いドット:ジャクソンスクエアで半数の取引を行っている顧客紺色ドット:ジャクソンスクエアのみを利用している顧客赤い星マーク:ジャクソンスクエアこのような手法で、全国で約1,900支店の統合と900店舗の新設、1,400支店の閉鎖と200支店の売却3,000支店のリニューアル、ATM6,000ヶ所の閉鎖と3,000ヶ所の開設が実施され、今では2008年の6,150支店から5,000支店にまで店舗数の効率化が図られている。引をジャクソンスクエア支店とATMで行う顧客が多いことがわかった。加えて、この支店では取引のキャパシティが限界に達しており、一部の顧客取引を別の支店やATMに移す必要性があることが判明した。では、どこの支店・ATMに顧客を誘導すればよいのだろうか。ジャクソンスクエアだけを利用している顧客の分布を分析した結果、ATMを2.4kmから3.2km南に移すことで状況の改善が図れることが明らかになった。ジャクソンスクエア設備を増強するのではなく、多くの顧客が居住する地域に設備を設けることで課題解決が図れることがデータの可視化によって導きだされた。このように、データを地図上に可視化し、顧客に対する貢献の強化と組織の簡素化、業務効率化を実施した結果、バンク・オブ・アメリカは年間約8億ドルの支出削減を実現し、ATMを含めた支店の運営費を55億ドルから47億ドルにまで圧縮することにも成功した。これは、株価を約1ドル分上昇させたことに相当する。また、顧客数に大きな変動はないが預金額は以前に比べて増加するなど、同行に対する顧客の信頼感の向上もうかがえる。ボールヒーズ氏は、オフィスで地図を見ることが日課だという。地図を通して、過去2年間に実行したことは何か、今後2年間に実施すべきことは何か、最終的なゴールは何かを確認する。特定の地域で気になる事案があれば、地図を見て考える。かつて1週間かけて考えていた課題が、今では地図を見て考えることで5分程度に短縮されたという。バンク・オブ・アメリカは、25年に及ぶ長期計画をニューヨーク市で進めている。2014年は計画が始まって14年目にあたる。これまでのところ、マンハッタン地域に2億ドルを投資し、年間6億ドルの歳入を生み出している。Market Development分野■まとめ活用事例

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