防災・BCP における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.20図2 落雷頻度の地域特性(メッシュの色が赤いほど落雷頻度が高い)図3 落雷統計解析結果中部電力 技術開発本部の受電設備解析風景図1 送電設備と落雷情報■課題解決手法■効果■今後の展望> 公益サービス > 電力するための研究を従来から進めてきた。落るようになった。こうした最新の落雷情報と送電設備情報をArcGIS Pro上で解析することにより、設備単位での落雷発生確まず、送電鉄塔、送電線、落雷対策設備のした。これらの設備情報に、中部電力の保ともできる。(図1)中部電力では、高精度に落雷情報を取得雷位置の標定精度や、落雷の特徴を解析するシステムの能力が向上し、より精密で詳細な落雷の地理情報を得ることができ率を解析することが可能となる。また、地図上で可視化することで、直感的に地域ごとの落雷の特徴やトレンドを把握することができるようになる。解析業務はESRIジャパンのコンサルティングサービスを活用し、ESRIジャパンと共同で進めた。位置情報を基にArcGIS Pro上にプロット有する落雷情報を重ねてプロットした。落雷情報は時刻データを有するため、時間経過による落雷地点の推移を表現するこ次に電力設備の雷等によるリスク評価を目的として、ArcGIS Proを用いた落雷の集計・統計作業を実施した。一例として落雷頻度の地域特性を解析した結果を図2に示す。更に詳細な評価として、送電線から任意の離隔距離以内の範囲に落ちる雷の数を送電線路ごとにまとめた。(図3)図中の送電線の表示の太さは落雷数に比例し、送電線の色は落雷電流の平均値が大きいほど赤色に近い。このようにすることで送電設備の落雷リスクを個々の設備単位で視覚的に表現することがで きる。落雷リスク評価の高度化を図ることで、落雷による設備被害の低減および合理的な落雷対策につながる可能性を見出すことができた。具体的には、落雷データの地理的・統計的な解析結果と送電設備の二次元分布を重ね合わせることで、送電設備への落雷リスクを個々の設備単位で評価することが可能となった。これにより、重点的に落雷対策を図るべき設備を明確化できるため、緻密な送電設備の落雷対策が可能となり、合理的な設備投資につながると期待できる。雷の進展特性は、地形や電力設備の形状等によって異なることが知られている。このため、地域ごとの雷の特徴(雷電流の極性、大きさ、直前の落雷との時間差など)に加えて、地形や電力設備の三次元としての特徴も加味して解析することによって、落雷による設備被害が発生する可能性をより高精度に評価することが可能になると期待される。また、落雷のトレンド解析により将来的な落雷の特徴の変化を予測することが可能となれば、 先駆的な電力設備設計につながると考えられる。活用事例落雷解析により電力流通設備の合理的な落雷対策につながる可能性を見つけ出す

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