Case Studies Vol.20宇部市3Dデジタルハザードマップ防災授業風景■ArcGIS採用の理由■課題解決手法■効果■今後の展望> 人材育成 > 教育ことができ、データを軽量化して扱いやすいということがわかった。レットPC端末との親和性が高いことから、ArcGIS Onlineを採用した。とのハザードマップ表示や3D表現、複数弘中氏は2004年(平成16年)頃から、GISを活用してハザードマップを作成した経験があったが、当時のGISソフトは、高スペックなPC端末が必要で、ソフトウェアの動作も遅かったため、ArcGISを汎用的に利用するのは難しいと思っていた。だが、その後登場したクラウドGISのArcGIS Onlineであればインストール不要で、GIGAスクールで配布したタブレットPC端末のブラウザー上でも簡単に操作するまた、ArcGIS Onlineは教育現場において、デジタルな教科書としての機能だけではなく、生徒自身で主題図を作成する等、さまざまな学習用途に利用でき、タブまず、Webアプリ開発を担当した株式会社エイムがArcGIS Onlineでデジタルハザードマップを作成した。当初Webアプリ上に画像を多用したため、学校現場で画像表示に時間がかかったこともあったが、画像の解像度や使用枚数を調整しデータを軽量化することで、操作がスムーズに行えるよう工夫した。また、誰が見てもわかりやすく、防災情報が伝わりやすいハザードマップになるよう心掛け、Webアプリのユーザーインターフェイスを試行錯誤しながら、災害の種類ごの災害情報の重ね合わせができるデジタルハザードマップが完成した。ArcGIS Onlineはクラウド型GISで簡単にWebアプリを作成できるため、たった1か月という短期間でプロトタイプを完成させることができた。防災授業では宇部市内の小中学校のモデル校を選定し、実証実験を実施した。授業の内容は、宇部市の災害の歴史を振り返り、防災の重要性を説明しながら、土砂災害や高潮のデジタルハザードマップを実際にタブレットPC端末で操作したり、紙地図との比較を行ったりした。小中学生の中にはIT機器の操作が苦手な生徒もいたが、そのような生徒でもデジタルハザードマップは直感的かつ簡単に操作することができた。防災授業の後には生徒にアンケート調査を実施し、デジタルハザードマップの防災授業の有用性を評価した。紙媒体でなくデジタルハザードマップだと地域に潜む災害リスクが一目瞭然で、「デジタル化に不安はあったが、操作がしやすかった」と話す中学生徒や、「デジタルハザードマップで、おじいちゃん家が危ないことが分かったので、今日習ったことを教えてあげるんだ」という小学児童の声など、デジタルハザードマップの総合的な理解の推進をすることができたと同氏は感じている。防災授業ではデジタルハザードマップを操作できたことに終始するのではなく、地域にどのような自然災害リスクがあるかを理解することや、もし自分たちが被害を受けなかったとしても、近隣の方々へはどのような対応をすべきか、周囲に手を差し伸べるにはどうしたらいいのかを考える機会としている。デジタルハザードマップを通して、日ごろから他者と支え合う関係を築くことの重要性を伝えている。市では、引き続き当事業を関係者と協力しながら連携・推進し、防災啓発活動を実践していく。山口県内でも、今回の事例を活かして他市への事業展開を行い、県全体で活用されていくことを目指している。活用事例GIGAスクール構想により普及したタブレットPC端末とWebマップを活用し災害リスクの認知、対策を学ぶ
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