42 Case Studies Vol.21現場(支店)での表示状況テクニカルソリューション統括本部土木建築本部 土木建築技術センター技術品質グループ長野 亮 氏(左)インフラマネジメントグループ川﨑 貴道 氏(右)ArcGIS OnlineArcGIS Experience BuilderArcGIS Dashboards・非常災害時における気象および設備に係る導入効果・GISの活用による迅速な非常災害対応組織名:九州電力株式会社住所:〒810-8720福岡県福岡市中央区渡辺通2-1-82使用製品課題空間的な情報の収集■概要■課題■ArcGIS活用の経緯PROFILE九州電力株式会社の土木建築技術センターは、近年、業務のDX化に力を入れている。特に「2D・3Dマップとデータベースを活用した設備情報の管理・活用の高度化」に注力し、ArcGISを活用している。設備情報の見える化として、既存データにさまざまなデータを重ねたマップやアプリを作成し、2023年(令和5年)度に整備した非常災害対応アプリは、気象・災害状況のモニタリングや現地被害状況の効率的な情報収集への活用が期待され、2024年(令和6年)6月より現場(支店)に試行導入された。今後はGISのさらなる活用と外部展開を目指している。土木建築技術センターは水力発電施設のうち土木建築設備の設備管理を担う部署であり、近年、業務のDX化に力を入れている。それは単なるIT化ではなく、デジタル技術による生産性の向上と、業務基盤の強化を目標に、実効性の高いDXを目指している。彼らは長期的なロードマップを作成しており、「巡視点検業務における人と機械のハイブリッド化」や「センシング技術による評価・診断の高度化」といったさまざまな目標を掲げている。中でも「2D・3Dマップとデータベースを活用した、設備情報の管理・活用の高度化」はGISが最も活用される領域となる。2025年に目指す姿としては以下の3つが掲げられた。・ 設備情報基盤を核とした業務運営(情報の一元管理・活用・継承)・ 情報の見える化・活用・ 情報の蓄積(データベース)これらのロードマップや目標に沿って、以前からGIS活用を行っていた土木建築部門のインフラマネジメントグループと土木建築技術センターが連携して、さまざまなマップ・アプリが作成されることとなった。同社のインフラマネジメントグループでは、10年以上前からArcGISを使用していた。もともとデスクトップ型のGISを保有していたが、GISを操作できる人は限られており、社内の依頼に応じてその都度分析を行い、地図を作成するといった運用にとどまっていた。「当時は地理空間情報の重要性に対する認識が十分でなかったと思います」と川﨑氏は語る。GISに慣れている人が少なかったため、社内でもなかなか浸透していかなかったという。しかし川﨑氏は、GISは分析・可視化ツールとして最適だと確信していたため、九州全体のハザード関連での利用や設備の立地選定などに継続して使用していた。近年、ArcGISのクラウド環境の普及に伴い、機能を絞った利用しやすい形でのアプリの提供およびデータ共有が可能となったことと、社内のDX化の機運が重なり、ここ数年でのGISの活用がチャンスと捉えられた。他のGISツールもある中で、ArcGISは分析ツールの種類が豊富であDXで実現する効率的な設備管理と迅速な災害対応九州電力株式会社
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