防災・BCP における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.132015年 ボストンマラソン ダッシュボード> 危機管理 > 予防準備■導入効果■おわりにケーションビルダーの利用が可能なSaaS優れたArcGIS Onlineが導入された。管理局に地図やデータの扱いに精通しため、ArcGIS Dashboardsを活用した「2015年ボストンマラソン ダッシュボード」の構築を開始した。緊急車両、医療対応など様々な事柄をリアルタイムに可視化し、警備担当者や危機管理対応者を含む大会関係者に共通状況図を提供するというものだ。可視化された情報は、デスクトップPC、タブレット端末、スマートに、どのようなデータをオンラインデータとして用意しておくべきかということを私たちに示用しましたが、様々な人に必要な情報を提供できる唯一の方法であることがわかりました」現した。ダッシュボードは、気象や交通情報、急対応に関する情報を盛り込んだWebマップレイヤーを特徴としていた。さらに、ヘリコ設等のデータを必要に応じて表示・非表示できる20レイヤーを設け、緊急事態が発生した場合には、関係する全対応者が地図上の緊急避難所を拡大し、状況の変化や収容可能人数、鍵となる連絡者や電話番号を確認できるようになっていた。*本稿は2017年1月に作成されたものですソリューションで、かつ、セキュリティ性に2015年のはじめ、マサチューセッツ危機Desiree Kocis氏がGISコーディネーターとして加わった。Kocis氏は、リアルタイムデータと地図を活用した安全対策を実現するたこのダッシュボードは、ランナー、気象、交通、フォンからアクセスすることができる。「2013年の爆弾テロ事件は、紙データの他したといえます。ArcGIS Onlineは初めて利とKocis氏はArcGIS Onlineを評する。Kocis氏は、ArcGIS Onlineの操作の習得からダッシュボードの構築までを約6週間で実ランナーや緊急車両のリアルタイム追跡、緊プターの離着陸場や州兵の集結地、医療施ボストンマラソン当日は、マサチューセッツ州、地方警察、連邦危機管理局など60機関から約300名が参加する複数行政機関調整センター(MACC)と屋外に配置された200名のスタッフが、ランナーや観客、気象、危機対応状況の把握、レース状況などの情報をダッシュボードで共有した。マラソン参加者には、チップ付きのゼッケンが配布され、5kmごとに設けられた通過測定地点で位置情報と時間が記録された。収集したこれらのデータをリアルタイム処理が可能なArcGIS GeoEvent Serverでフィーチャ サービスとして配信することで、測定地点を通過、または、測定地点付近にいるランナーの人数の把握が可能となった。さらに、状況に応じてコース上の警備員や医療スタッフの配置の検討もできるようになった。屋外スタッフは、転倒者などのケガ人の位置情報や対応状況の入力、最寄りの警察車両や救急車、救護施設の位置情報の検索と確認にCollector for ArcGISを活用した。Collector for ArcGISはダッシュボードと連動しており、複数行政機関調整センターや屋外スタッフ間のスムーズな情報共有を実現した。レース中の気象情報の監視もダッシュボードで行われた。最良の精度を保つため、42.195Kmのコースに沿って3つの気象観測地点を含む気象ウィジェットが構築された。ArcGIS Online上の気象情報レイヤーを毎時ごとに更新することで、最新の気象情報をウィジェットに自動的に反映し、ダッシュボード上の地図に表示した。ArcGISを安全対策の中核に据えた2015年ボストンマラソンは無事に終了した。「ランナーや観客、コース沿いの自治体、マサチューセッツ州のインフラと安全対策に大いに貢献することができたという達成感があります」とKocis氏は振り返る。「スポーツは人々を一つにし、世界中の人々を結びつける力があります。また、人間らしさを共有し、世界の文化の多様性を讃える機会でもあります」と2013年大会の男子マラソンの勝者であるエチオピア代表のLelisa Desisa氏が述べるように、GISもまた、安全性への取り組みにおいて人々と情報を結びつけたといえるであろう。大会運営状況を把握し、関係者間で同一の情報を共有することで安全対策を強化■導入手法ランナー、気象、緊急車両などの位置情報をリアルタイムに可視化活用事例

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