Case Studies Vol.122015年9月1日の地震防災訓練の様子DiMPASの画面> 危機管理 > 予防準備■導入効果■今後の展望*本稿は2016年1月に作成されたものですフラの情報やハザードマップで、具体的に(写真)、道路・鉄道・河川等の被害情報理院タイルと最新のWebアプリケーションAPIのLeafletを使用したベクタータイルによる高速地図配信を行うことによって、発災直後のアクセス集中にも耐えられるように設計されている。この地理院タイルの作成にもArcGISが活用されている。掲載されている情報は、事前情報と被害情報の2つに大別される。事前情報はインは、土砂災害危険個所、浸水想定区域、緊急輸送路、道の駅、各種インフラ(道路、鉄道、空港、港湾、公園、官公庁、避難施設)などである。一方、災害発生後に掲載される被害情報は、震源、震度、津波(警報・注意報、観測情報)、ヘリサット画像、現地からの報告などである。ヘリサットはヘリコプターに搭載され、衛星回線を使用して画像をほぼリアルタイムで配信できるシステムで、地方整備局の所有する防災ヘリへの搭載が進んでいる。このヘリサット画像は幾何補正処理後、自動的にWebアプリケーション上に重ね合わせ表示される。従来よりも迅速に現場の状況を把握できるため、災害発生直後に重要となる被害の全体把握には最適である。飛行機に比べ高度を低く飛べるため、雲の下から撮影できることも特長だ。システム導入時に苦労した点として、「GISに慣れていない職員にも使ってもらうために、画面のユーザビリティ(インタフェース)の調整には苦労しました。また、既存の被害報フォーマットや集約方法のまま、いかに被害情報をこのシステムに取り込むかも課題でした」と長谷川氏は述べられた。本システムの運用を開始した9月1日の防災の日に、首都直下地震を想定した「国土交通省地震防災訓練」で使用された。表形式だった被害報を地図上で見ることができ、各種の被害情報等を同じ画面上で集約して見られるようになり、被害の概要をつかみやすいとのことで、好評であった。また、9月9日から11日にかけて発生した関東・東北豪雨による災害では、ヘリサット画像、通行止め情報などを掲載し、様々な機関から、「実際に活用した」、「ぜひ使いたい」など、反響があり、活用の度合いが広がったようだ。今後の展開としては、例えば水害発生時にハザード情報と各種施設の情報を重ねて表示し、適切な避難個所の選定を行うなど、自治体等による避難計画への活用が期待されている。システムの課題としては、操作画面の使い勝手の向上のほか、自治体や関係省庁のシステムにDiMAPSのデータを取り込みたいとの要望や、逆にDiMAPSに掲載したいとの要望も出てきているとのことで、データの相互のやりとりの手法を検討していくことが挙げられている。統合災害情報システム(DiMAPS)東日本大震災を教訓にして開発されたシステムは、実際の災害発生時にも活用今後、自治体や関係機関での利活用拡大に期待活用事例
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