防災・BCP における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.17 総合防災訓練の様子 災害情報通報フォーム> 危機管理 > 予防準備■総合防災訓練の成果■今後の展望現場からのデータ登録には、ArcGIS が使用された。市指定の報告様式や必要添付できるよう、株式会社東日が作成をサポートした。内容は道路の冠水の発生、倒木、土砂災害の発生など多岐に渡り、人命救助、対策要請、報告と緊急度に応現場から時々刻々と寄せられる報告は、ArcGIS Onlineに付属するArcGIS 式でまとめられる。地図上では位置や報告内容だけでなく、対策中・対策済といった対応フェーズもひと目でリアルタイムに確認することができる。このダッシュボードは、災害対策本部に設置されたプロジェに映し出され、災害対策本部の情報共有現場への情報伝達および記録用に、Microsoft Wordとの連携ツールを活用し、災害時連絡票を自動出力する機能も備えられている。総合防災訓練では、情報班、救護班、避難所運営班、建設班などに分かれ、現場にいる職員が災害対策本部にいる本部員へ、発生している事象の報告や救護要請*本稿は2021年1月に作成されたものですを行った。災害対応システムの導入により、報告を含む現場の情報集約と、それに伴う各班の負担が軽減され、情報伝達フローの改善が見られたと市危機管理課職員は語る。現場と本部とがリアルタイムに情報共有できることに大きなメリットを感じているという。「災害時には情報が頼り。短時間で現場を動かす判断を迫られます。現場の報告から自動的に帳票が出来上がる。これは作業の効率化に非常に役立ちます」東日 岡田氏も、「クラウドGISならではの部分をご評価いただいていると思います」と手応えを感じている。一方で、訓練で実際に活用したことで課題も新たに生まれた。現場から報告を上げる際に、報告フォームの入力ミスが発生した。今後に向けてマニュアルの改善や報告フォームの改善に取り組んでいくという。また、インターネット接続ができない場合を考慮し従来の電話での報告作業も並行して行われたが、本部員に割り当てられた入力端末の数が足りず入力に時間を要した。多くの報告が入力されると、地図の表示にも課題が出てきた。被害の発生とそれに伴う対応要請は、狭い範囲で集中して入力される。そのため、重要度の高い情報や、時間の経過に伴って変化する情報が見づらくなってしまう。今後の災害対応や訓練に向けて表示方法の調整を行う予定である。現場からの情報収集と可視化に十分に活用できるという手応えを元に、今後は市民からの情報収集にも活用していきたいという。災害情報だけでなく、道路等の破損や防犯灯の球切れ、動物の死骸を発見した場合の通報など、様々な業務へ応用できそうだと感じているという。通報を受けて作業を行う委託業者への伝達の際にも、正確な位置情報や写真の情報をもとSurvey123で作成された報告用フォームとされる報告の種別と写真、位置情報がじて入力できるようになっている。Dashboardsを利用してダッシュボード形クターにより、100インチ以上のスクリーンと意思決定に活用された。に対応できるため、業務効率化も期待できる。また、今後は市民への情報発信機能を強化したいという。現在も市のホームページやLINE公式アカウントで情報発信を行っているが、災害情報を伝えるとき、地区名だけではどこに危険が迫っているのか把握しづらいため、地図の活用を検討している。地図を用いた情報伝達は、ひと目で把握しやすいという大きなメリットがある。市民に避難行動を促す際にも、災害発生状況に加えてリアルタイムな避難所の開設情報が重要な情報となる。特に新型コロナウイルス感染症の拡大は、避難所の運営や避難行動に大きく影響を及ぼしている。リスク回避のため、避難所の開設状況や、30分ほどで満員になることもあるという各避難所の受入状況は、正確かつタイムラグ無く周知する必要がある。近年、災害が広域化・激甚化する中で、他機関や近隣自治体との連携は欠かせない。令和元年東日本台風の発災後、災害時に近隣自治体と情報連携する体制は構築しているが、同じ地図上でリアルタイムに情報共有するプラットフォームとして活用していきたいと考えている。「当社としても、伊豆の国市様をはじめ、ご導入いただいた自治体の全面的なバックアップを行いながら、危機管理・防災という面で、近隣自治体を繋げていきたいと思っています」と東日 倉田氏は語った。災害情報プラットフォームとして、ますます活用が進むことが期待される。発災時の迅速な意思決定をArcGIS Onlineが支援現場と災害対策本部の情報連携による活用事例

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