Case Studies Vol.15Survey123 for ArcGISの調査フォームの画面例左からサインイン画面、位置情報と調査結果入力画面、現場写真を添付する画面ArcGIS Dashboardsによる管理者アプリの画面例。右上のカレンダーと連動した日別集計、被害区分別集計、班別の調査件数集計やチャートやマップによる進捗表示上の写真は朝の準備風景で、左上から調査に使ったスマートフォン、レンタカーの鍵、調査エリア確認中の調査班、下は調査道具を示す調査現場の様子> 危機管理 > 復旧復興■効果■今後の展望*本稿は2019年1月に作成されたものですると共に、前日挙がった課題を解決するアップが行われた場合は、最新版をダウ調査システムによる業務フローは、朝の準備フロー、昼の調査フロー、夕方の検証フローの3つが標準化された。朝は主に前日の調査結果をスマホから消去すため夜間に調査フォームのバージョンンロードする。昼は、紙の調査票に記入した調査結果や調査番号をスマホ上の調査アプリに入力するとともに、建物の位置情報や現場写真を取得してクラウド上に登録する。写真の解像度は、データ容量の節約と調査品質のトレードオフと考え600KB/枚程度に設定した。撮影箇所は、建物全景、浸水深測定箇所、測定内容、被害箇所、調査票など、ルールを定めて標準化した。写真は調査あたり5から10枚程度撮影された。電波状態の悪い場所での調査結果はスマホ上に一時保存し、電波状況の良い場所からクラウドに登録する事も可能としている。調査現場からの調査手法やアプリ操作に関する質問には携帯電話によるコールセンターを設置して対応した。夕方の帰庁後は、班毎に出力したその日の登録結果と紙の調査票を照合し、入力ミスなどがあればスマホから修正した。応援職員の交代なども考慮し、データの品質はその日のうちに検証する事が重要であると考えられた。調査班の解散後は、集計作業や振返りが行われ、コールセンターの問合せ内容やその日の判断事例をFAQドキュメントに反映し、翌朝配布することで業務品質の向上が図られた。データのバックアップは、Survey123 for ArcGISの管理者ページのフィルター機能を利用して日別のファイル・ジオデータベース(写真含む)と累積のCSVファイル(写真は含まない)をダウンロードする事で運用した。管理者端末にはArcGIS Desktopをインストールし、ローカルデータを閲覧したり、カスタムツールで写真を取り出しフォルダに整理できるようにした。調査結果や写真も含め調査後半のArcGIS Onlineの消費サービスクレジットは約10SC/日であった。毎日の調査状況はArcGIS Onlineのマップ上で確認し、翌日の調査計画の立案に役立てた。班毎に割り振られた調査計画は、印刷された住宅地図上に記入され、翌朝に各班に配布された。クラウドGISであるArcGIS Onlineを利用する事により、導入決定から2日後には調査システムを構築する事ができた。内閣府指針に準拠した紙の調査票とスマホ上のSurvey123 for ArcGISによる調査フォームを併用する事で、迅速な調査プロジェクトを実施し、ピーク時で33調査班による500件/日以上の調査を実施できた。管理者は、ArcGIS Dashboardsによりリアルタイムに調査進捗を把握し、タイムリーな調査集計や報告、翌日の計画を行う環境を得た。倉敷市では、調査結果を活用して被災された市民の方々の着実な生活再建を支援していく方針である。今回災害発生後に導入したシステムと調査手法については、市としても初めてのことで軌道に乗せるまで苦労もあったが、結果として得られた運用ノウハウは、今後の災害で生かしていきたいと考えている。被災された市民の方々の1日も早い生活再建を!迅速な住家被害認定調査により、活用事例
元のページ ../index.html#17