防災・BCP における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.15PROFILE 広島県広島市南区出汐2-3-30早く地図上にプロットすることが可能に情報事業部 曽我部 貴史 氏 ・ 川村 彩織 氏組織名:中電技術コンサルタント株式会社住所:〒734-8501電話番号:082-256-3346使用製品ArcGIS Desktop課題・災害時に行政機関が保有する多くの文字情報に位置情報を付与し、正確な情報の地図上への速やかな可視化・汎用GISによるオープンデータ(外部機関等が公開するデータ)を取り込み、新たな主題図を作成導入効果・住所情報をジオコーディングすることで素・ArcGISのインポート機能や座標変換機能を活用することで、複数のオープンデータを素早く取り込み、目的の主題図を作成することが可能に中電技術コンサルタント本社ビル■概要■課題■ArcGIS採用の理由■課題解決手法各種ライフラインにも深刻な被害を与え、断水、停電や鉄道の運休、道路の通行止めなどの交通障害が発生する事態となった。各行政機関より、「災害の発生状況と被災した箇所を直ぐに可視化したい」という要望を受けた同社は、作業に取り掛かった。ただ、災害情報の迅速な可視化が求められる一方で、行政機関より提供されるデータのほとんどは文字ベースの一覧表が多く、この文字情報を速やかにGISデータに変換する必要があった。さらに、災害時に可視化が必要な情報は、災害種別や状況に応じて異なることから、汎用的に扱えるGISソフトと技術者の柔軟な対応が求められた。災害対応における各種マップの作成にあたっては、ArcGIS Desktopを使用して作業を行った。GISソフトの選定においては、GIS上で作成した複数のマップを様々な形式で公開することを念頭に行われ、以下の理由からArcGIS Desktopが採用された。本作業においては、オープンデータをはじめ、数多くの外部データを取り込む必要があったが、同製品は、容易に外部データを取り込む(インポート)ことができ、さらには出力(エクスポート)できるファイル形式も充実していたことが採用の理由の一つとして上げられる。また、作業を所管した同社情報事業部が以前よりArcGIS Desktopのライセンスを複数有していたことで、操作に慣れている社員が多かったことと作業データの共有が簡便であったこともあげられた。1)データ収集整理各種マップの作成にあたっては、ベースとなる背景図の収集が必要であった。同社では、データ変換ツールを用いて、国土数値情報(国土交通省)や、基盤地図情報(国土地中電技術コンサルタント株式会社(以下、「同社」という)は、広島市内に本社を置き、河川、道路、港湾、建築、電気通信、情報など幅広いフィールドで総合建設コンサルタントとして活躍する企業である。近年、頻発する豪雨が引き起こす洪水・土砂災害の広域化・甚大化に備えるため、社会インフラ整備を基本とした被害軽減対策や危機管理対策に係る業務に注力している。ここでは「平成30年7月豪雨」において、行政機関が素早く状況を把握し、迅速かつ的確な意思決定を行うための支援として、同社が広島県等いくつかの行政機関より要請を受け、ArcGISを用いて災害対応のための各種マップを作成した取り組みについて一例を紹介する。平成30年(2018年)6月28日から7月8日にかけ、西日本を中心に記録的な大雨を観測した「平成30年7月豪雨」は、1府10県に大雨特別警報が発表され、この豪雨の影響により河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が各地で発生し、死者、行方不明者が200名を超える甚大な災害となった。広島県においても100名を超える死者、行方不明者、多くの住家被害や施設被害をもたらしたほか、道路、鉄道、水道、電気等の地元建設コンサルタント企業の災害対応におけるGISの活用中電技術コンサルタント株式会社

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