防災・BCP における地図の活用事例集
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プラットフォームCase Studies Vol.17PROFILE国土交通省 中国地方整備局河川部 河川計画課 課長補佐  岡﨑 尚也 氏(右)中電技術コンサルタント株式会社先進技術センター長  荒木 義則 氏(左)組織名:国土交通省 中国地方整備局住所:〒730-8530 広島市中区上八丁堀6-30問合せ先:河川部 河川計画課電話番号:082-221-9231(河川部直通)使用製品ArcGIS OnlineArcGIS CollectorArcGIS Survey123ArcGIS WorkforceArcGIS Dashboards課題・膨大な調査写真の位置情報の整理が煩雑・土地勘のない被災地での正確な現在地の把握と、危険な被災現場での活動の安全確保導入効果・点検結果報告書の作成業務の効率化・TEC-FORCE活動における安全性の向上組織名:中電技術コンサルタント株式会社住所:〒734-8510 広島市南区出汐2-3-30問合せ先:情報事業部 防災情報グループ電話番号:082-256-3346緊急点検の様子・ 調査現場や調査本部、本省間の活動状況のリアルタイム共有・ 位置情報を持った調査内容から報告書作成のシステム化平成26年8月豪雨、平成30年7月豪雨など、近年豪雨による土砂災害が頻発している中国地方。土砂災害が発生した際には、国土交通省(以下、本省)の司令の下、全国の地方整備局の職員等から編成されるTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)が現場に向かい、二次的な土砂災害の危険性を調査するための緊急点検を実施する。中国地方整備局では緊急点検を安全かつ効率的に実施するため、2018年度(平成30年度)に緊急点検ツール「SMART SABO」のプロトタイプを開発した。2019年度(令和元年度)のプロトタイプの全国的な試行を経て、2020年度(令和2年度)から本システムの全国的な本格運用が開始された。以前の緊急点検では、カーナビと調査箇所が示された紙地図を頼りに現場へ向かい、現場で調査内容のメモや写真記録、位置情報の把握を行い、1日の活動が終了したら活動基地に戻り、調査内容メモとデジカメで撮影した写真などとの紐付けの上、Excel形式で報告書を作成してい■概要■課題■ArcGIS採用の理由導入パートナー企業ArcGISプラットフォームの特長ArcGISプラットフォームの特長た。その課題として、山中では目印となる目標物が少ないため自身の現在地の把握が困難である他、本部が隊員の現在地や調査状況をリアルタイムに把握できない、そして1日に複数箇所を調査するため活動基地に戻った後の調査結果の整理に多大な時間と労力を費やしていたことが挙げられる。全国から派遣される隊員は当然現地の土地勘がなく、現在地の把握に関する課題は常につきまとった。これらの課題を抱えながら各隊員の努力のもと活動を続けていた中で、全国的にICT活用の機運も高まったことを受け、2017年(平成29年)に緊急点検の効率化について検討を開始した。翌2018年度にプロトタイプの開発を予定していたが、そのような中、平成30年7月豪雨が発生した。災害対応も追い風となりツール化に向けての動きが加速し、同年8月末に中電技術コンサルタント株式会社がプロトタイプ開発を受注、11月末に実証実験することになった。同社は当初スクラッチ開発を想定したが、3か月しかない中で時間も予算も足りないとの結論に至り、既存のサービスから検討することにした。複数のサービスを比較検討した結果、ESRIジャパンのビジネスパートナーである同社はまず、ArcGIS Onlineと付属する現地調査アプリを活用したシステムを提案することにした。開発を担当した同社の山野氏は「一から開発しない、保守・維持管理のコストを削減できる点が決め手になりました」と語る。土砂災害の被災地における緊急点検アプリの構築国土交通省 中国地方整備局

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