自治体における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.15■今後の展望■効果林相区分図路網設計支援ソフト「FRD」ゾーニング結果伐採計画図天然乾燥材「伊都国のスギ」> 資源管理 > 森林*本稿は2019年1月に作成されたものですさらにマスタープランの根幹をなす本市独3D Analystを活用して解析を行い、各林ArcGISの空間解析機能で集計、データベース化した。自のゾーニング作業においては、ArcGIS 分の成長力や道からの距離、環境配慮への必要性等の条件からその林分の施業方針(森林の取扱方法)を定めた。これらの森林資源情報や路網情報、ゾーニング結果を基に、ExcelとArcGISとのテーブル結合機能を用いて計画の確認・調整を行った上で、マスタープランの最終成果として伐採計画や路網計画を立案した。また、「糸島GIS」に市域の森林・林業に関連する様々な森林情報を集約することで、「糸島市森林情報システム」として、業務の効率化・高度化を実現した。さらに、産出した木材をどう使うかを考える「木材需要創出ワーキンググループ(現糸島産材活用協議会)」を設置し、森林組合、製材所、工務店などの代表者が参加し、本市で産出された木材を市内で流通・加工・販売する木材の「地産地消型」とそれ以外の「地産他消型」の二本柱で糸島版木材サプライチェーン構築事業を進めていくことを決めた。今回のマスタープランは、一部のモデル地区ではなく本市全域の詳細な森林データの解析により作成したものであり、これは広域かつ大量のGISデータを効率的に取り扱うことが可能であるArcGISを有効活用することにより実現できたものである。森林情報の取り扱いに特化した専用の森林GISではなく汎用型のArcGISを活用したことにより、多種多様なデータのオーバーレイ機能等を駆使するゾーニング作業を円滑に進めることが可能となった。また、糸島版木材サプライチェーン構築事業においては、「地産地消型」では建築用の糸島産材を作り、実際に人工乾燥5棟、天然乾燥1棟の販売に至った。マスタープランにおけるゾーニングや伐採計画・路網計画については、今後、森林所有者の意向調査や森林組合等の林業事業体による集約化の結果を基に、随時修正を行う必要がある。森林資源情報についても、森林の成長や間伐等の施業結果を反映させる必要があり、これらのデータの修正作業については、テーブル内の数値データの修正が必要であるが、エクスポートしたテーブルデータの数値を一括で修正できる新たに構築した数値系の「森林資源量解析システム」とArcGISによる「糸島市森林情報システム」を連携して行っていく。また本市では、マスタープラン策定時の検討組織「山づくりワーキンググループ」を発展させた「糸島山づくり協議会」を設立しているが、この協議会のメンバーである森林組合や素材生産事業体等の林業事業体に対し、今後得られた森林情報の提供を予定している。提供方法として、ArcGIS Onlineを活用することも視野に入れており、各林業事業体がダウンロードした詳細な森林資源情報や地形情報を基に専用のソフトを用いて路網設計を効率化する実証も開始している。本市としては、今後も「糸島市森林情報システム」と各種森林情報をフル活用し、市域の森林整備と林業振興を推進していきたいと考えている。活用事例持続可能な森林経営の実現

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