Case Studies Vol.15■概要■課題■ArcGIS活用の経緯■課題解決手法PROFILE福岡県糸島市前原西1-1-1導入パートナー企業糸島産材活用協議会メンバー組織名:福岡県 糸島市 農林水産課住所:〒819-1192問合せ先:092-323-1111Email:norinsuisan@city.itoshima.lg.jp使用製品ArcGIS Desktop ArcGIS 3D Analyst課題・森林・林業行政の根幹となる計画策定・荒廃した人工林の増加導入効果・持続可能な森林経営の実現・森林情報や多種多様なデータの集約組織名:住友林業株式会社住所:東京都千代田区大手町1-3-2問合せ先:資源環境本部山林部電話番号:03-3214-3251組織名:株式会社フォテク住所:北海道札幌市東区北36条東26-2-37電話番号:011-785-1060「はろ展望台」から見た二丈岳の眺望糸島市(以下、本市)は、福岡市という大都市に隣接するアクセスの良さと、海と山に囲まれた自然の豊かさが人気を集め、観光地、移住したい町として注目を集めている。森林でろ過された山水の養分が田園から海に流れ込み、豊かな漁場を育むとの考えから、林業の活性化に力を入れている。しかし、林業従事者の減少により、必要な整備が行われていない人工林が増えており、持続可能な森林経営、森林の有する多面的機能の発揮、林業・木材産業の健全な発展が課題であった。そのため、本市ではArcGISを用いて市全域の詳細な森林データの解析、ゾーニング作業を行い、森林の伐採計画や木材を運ぶ林道などの路網計画などを含む「糸島市森林・林業マスタープラン」(以下「マスタープラン」)を策定した。汎用型GISであるArcGISを用いたことにより、大量かつ多様なデータを集約でき、業務の効率化・高度化を実現した。本市の森林面積は約9,800haある。2013年当時、スギやヒノキの人工林を含めて全体の8割以上が樹齢40年を超え、伐採・利用の時期を迎えていた。しかし、国産の木材価格の長期低迷による収益性の悪化、林業従事者の減少により、間伐など必要な整備が行われず荒廃する人工林の増加が課題であった。また、本市における持続可能な森林経営、森林が有する多面的機能の発揮、林業・木材産業の健全な発展を実現するためには、本市が講じる様々な施策の全体調和と個別有効性を確保する必要があった。本市の全体的な施策の方針を定めるマスタープランの策定にあたり、森林に関する基礎データとして広域かつ大量のGISデータを効率的に取り扱う必要があった。また、森林情報だけでなく、そのほかの多種多様なデータの利用も必要だったため、森林情報の取り扱いに特化した専用の森林GISではなく、汎用型のGISが求められた。本市では、ArcGISを採用した全庁利用の汎用型GISである「糸島GIS」が導入されている。そのため、林務部門でもこの「糸島GIS」を利用することで、市域の森林・林業に関連する様々な森林情報や、多種多様なデータを集約することができ、業務の効率化を実現できると考えた。2015年度と2016年度に、森林の計画的な循環利用を目指すマスタープランを作成した。本市が講じる様々な施策の全体調和と個別有効性を確保するため、常に施策の効果測定を行い、その結果をマスタープランに反映する継続的な取り組みが重要となる。マスタープランの策定においては、その基礎データとして、市全域で実施した最新の航空レーザー計測の解析を行うことで、樹種別の詳細な森林の状況を把握し、伐採計画や木材を運ぶ林道等の路網計画を作成した。これらの解析や計画作成には、専門のソフトを用いたが、その結果を豊かな「農・漁」を育む森林の活性化福岡県 糸島市 農林水産課
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