自治体における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.20現地調査アプリを利用した木材トレーサビリティ情報の取得原木データ分析アプリ椪情報更新アプリ> 資源管理 > 林業■効果■課題解決手法■今後の展望✓ 高いITスキルや高価な機器がなくても✓ 現場で取得したデータを簡単にかつそしてArcGISの採用決定後わずか2〜3することができた。Survey123(以下、Survey123)を採用し日常的に使用可能なアプリで合法性証明時に必要な情報を取得できる。素早くクラウドに連携できる。✓試行錯誤しながらシステムのイメージを具体化・検証することができる。✓木材流通に関わる多くの関係者が相互に連携し合いながらも、個々の情報のセキュリティが担保される。か月後の2019年末には、実際に動作可能な原木管理クラウドのプロトタイプを構築木材の合法性証明のためには正確な伐採地点や運搬ルートを追跡可能な状態にすることが重要なため、原木市場に原木を出荷する際のトラック一積みを一単位とし、原木市場での荷受け時に発行される荷受伝票番号と紐づけることとした。データの取得にあたっては、オフライン環境でも位置情報などのデータ取得が可能で、手持ちのスマートフォンで利用可能な調査票ベースの現地調査アプリArcGIS た。このアプリを利用する中で、素材生産事業者とのヒアリングや実証を基にアプリの機能やユーザーインターフェイスの改良を繰り返した。取得されたデータはクラウド環境のArcGIS Online上に自動的にアップロードされ、原木市場が原木の移動ログを含む伐採現場からのトレーサビリティ情報をダッシュボード形式のWebアプリ(ArcGIS Dashboards)を通して直ちに確認できる仕組みとした。ArcGIS Onlineによるプラットフォームを活用することで、伐採現場や輸送経路情報を簡単に取得しつつ、原木の流通情報を安全に一元管理ができる原木管理クラウドを構築することができた。Survey123による現地調査結果からは、素材生産事業者が日常業務の中で大きな追加の負担がなく、木材トレーサビリティに必要な情報の取得が可能なことが分かった。さらに、原木市場等において木材の販売管理に利用されているシステム内の売上明細データと連携することで、合法性確認を日常的に行うとともに、出荷者ごとの採材の傾向や買い方の傾向の定量的な分析による、客観性の高いデータを活用した経営も可能な原木データ分析アプリを構築することができた。また、原木市場のストックヤード内にある椪(はい)情報をリアルタイムに確認し、現場担当者と事務所の職員が情報を共有する仕組みである、椪情報更新アプリを同じプラットフォーム内に実装した。ArcGIS Onlineを利用したアジャイル開発により原木管理クラウドの基本システムの構築は迅速に完了したが、実際に運用していくためには素材生産・流通に携わる各方面の理解と協力が必要であり、合意形成を丁寧に進めていく必要がある。今後は、位置情報を活用した合法性確認の仕組みを実際の現場で継続的に運用していけるよう、取り組みをさらに加速させていきたい。ArcGIS Onlineを活用した木材の合法性を確認するスマートな木材流通の仕組みづくり活用事例

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