自治体における地図の活用事例集
65/90

Case Studies Vol.19■ArcGIS採用の理由■課題解決手法と効果■今後の展望生きもの情報マップ(上)と外来種コーナーの個別種の解説ページで公開している 分布3次メッシュ図(下)システム構成のイメージ図> 資源管理 > 生物多様性あり、これらの作業に多大な手間がかかる上、入力ミスや集計ミスのリスクもあった。ArcGISを採用した。ArcGIS OnlineにはWeb公開用のアプリが複数あり、柔軟にカスタマイズできるため、用途に合わせなくてもノーコードでアプリを編集・構築できるため、アイデア次第でさまざまな事業に活用できる。てArcGIS Proを使った。ArcGIS Proは複雑なデータを扱う上でも動作が安定しており、保健環などに活用できる。また、ArcGIS Onlineを使用し、オフライン環境下でもデータを入力できる野外調査アプリの開発を実現した。分布地図はホームページの2か所で公開することにした。1つは「生きもの情報マップ」コーナーである。ArcGIS Web AppBuilderを使って約20種類のレイヤーを公開し、多くのレイヤーをユーザーが自由に重ね合わせて閲覧できるようにした。もう1つの「外来種」コーナーでは、県の侵略的外来種304種の種別に、生態や写真、分布地図を掲載する仕組みを検討した。既存のデータベースには侵略的外来種以外にもさまざまな生物種の分布データが混在しているため、データベースの中から種名で地図を指定して表示できるArcGIS Dashboardsを採用した。一般公開して1年も経たないが、これまで紙での情報しかなかった保護区の情報や3次メッシュの地図が詳細に確認できて便利、という声や、外来種の種別の分布データが閲覧できて参考になる、という声をいただいている。次に、さまざまな地理情報を管理するシステムを保健環境研究所内のArcGIS Pro専用PCに構築した。また、ArcGIS Survey123を用いて、システムと連携した生物分布調査アプリを開発した。生物分布データの入力・管理・分析の省力化を図るため、まず、ジオプロセシングツールを使って、ワンクリックで属性が一括入力されるモデルを作成した。モデルの内容は、緯度経度を基に市区町村名と3次メッシュIDが入力されるものと、生物の種名と高次分類群名(例:植物、哺乳類、昆虫類など)から、科名・学名等の分類情報や希少性などの付随情報が入力されるものである。後者は、あらかじめ県内に生息する生物リストをExcelで作成しておき、それに紐づけるようにしたため、リストの内容変更時にも柔軟に対応できる。次に、ワンクリックで3次メッシュ内の種数を植物・動物ごと、希少種・外来種・その他の種ごとに集計して地図が生成されるモデルを作成した。ここで作られた3次メッシュ地図の一部がホームページで公開される仕組みとした。このような処理の自動化を導入したことにより、データ管理の大幅な省力化が図られただけでなく、入力・操作ミスを防止することにもつながった。今後、より多くの情報が集積されることで、生物多様性保全上重要な地域の分析や、生物多様性の変化状況の面的な把握など、より多角的な分析に展開したいと考えている。また、県民や専門家など多くの方から広く情報提供を受けられる仕組みを検討するなど、ArcGISの多様なアプリが持つ可能性を最大限に活用していきたい。前述の課題解決のため、以下の特長を持つ多様な情報を簡単に一般公開可能短期間で開発が可能である。また、高度なスキルがデータ集計作業の効率化既存データのフォーマットを最大限に活用し、生物分布データを収集・管理・分析するシステムとし境研究所における高度な解析やシミュレーション活用事例生物多様性に関するさまざまな地理情報の収集から管理、公開までをサポートするシステムを構築

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る