自治体における地図の活用事例集
61/90

Case Studies Vol.21 7食品ロスを題材にしたストーリーマップ> 資源管理 > 地域政策■効果■ArcGIS活用の経緯■課題解決手法■今後の展望リーマップ(ストーリーテリングに地図の要られており、有効なハブサイトとして機能している。SDGs Todayのように、日本国内にしたハブサイトを構築することが必要とさ2019年(令和元年)度には、xSDG・ラボ「プラスチックごみを写真で撮影して投稿するアプリ」について、開発・実証実験を行うなど、GISを活用した社会課題の可視化SDGs Today Japanでは、主に日本のSDGsの進捗に焦点を当て、各組織が取りし、SDGsに関わる人々が現状を把握でき「現状の把握」については、世界におけるGISで可視化するコンテンツを整備した。ArcGIS Dashboardsで作成した。この素を加えたWebブラウザーベースのアプリケーション)と呼ばれる記事形式でまとめおけるSDGsに関する多数の情報を集約れていた。慶應義塾大学・蟹江憲史研究室は、2018年度からGISを活用してSDGsの指標を可視化するために、研究を実施してきた。に設置された分科会活動の一環としての可能性を検討している。こうした研究の成果として、前述の課題を踏まえ、日本国内のSDGsに関する情報や進捗状況を集約したハブサイト「SDGs Today Japan」の構築を目指すこととなった。組んでいるSDGsの進捗状況・達成度についてGISを用いて可視化した事例を紹介る情報を発信することを目指している。掲載する情報コンテンツについては、「現状の把握」と「Storytelling」の2つのカテゴリで整備を行った。日本の状況や自治体のSDGs達成状況を具体例としては、神奈川県SDGs指標候補を地図で可視化したダッシュボードを、ダッシュボードでは、指標と年度を選択することで、対象年の数値を市町村または市区町村ごとに地図上で色分け表示でき、指標の数値の経年変化をグラフで確認することもできる。「Storytelling」については、SDGsに関するさまざまな状況や取り組みを紹介するストーリーマップを整備した。ストーリーマップの作成については、ArcGIS StoryMapsを使用した。コンテンツの具体例としては、同研究室の学生との共同制作による「食品ロス」や「ごみのリサイクル」を題材にしたストーリーマップや、日本航空のサステナブルチャーターフライトにおける取り組みを紹介したストーリーマップがある。これら一連のコンテンツを集約して掲載するハブサイトを、ArcGIS Onlineのハブサイト構築用アプリであるArcGIS Hubを利用して構築し、SDGs Today Japanとして2023年(令和5年)6月に公開した。SDGs Today Japanには、①地理情報を用いた定量データの可視化と、②SDGs達成に資する優良事例のストーリーマップという2つの内容が掲載されている。指標に関する数値データを収集するだけで、その達成度に大きな関心が寄せられる一方、具体的な改善策の検討は容易ではない。そこで、①のコンテンツによって、指標の数値データを地図情報と重ね合わせることで、どこの地域にどの程度の問題が発生しているか、といった詳細な分析が可能になり、解決策を検討する際の助けになる。また、②のストーリーマップから、先進的な事例が備える重要な要素を理解し、閲覧者が自らの取り組みの参考にすることができる。2023年(令和5年)6月の公開から約1年が経過したが、ストーリーマップの数など、コンテンツが限られている点を改善し、発展させる必要がある。そこで、xSDG・ラボに設置されたコンソーシアムの会員(企業・団体)が行う取り組みのストーリーマップ化を端緒として、さらにWebサイトの内容を充実させていくことを予定している。また、ストーリーマップという手法を通じて、前述の会員に限らず、広く企業・自治体等の取り組みをまとめ、日本国内のSDGs推進に寄与していきたい。GISによるSDGsの進捗状況・取り組みの効果的な可視化とストーリーテリング活用事例

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る