自治体における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.19■概要■課題■ArcGIS採用の理由■課題解決手法PROFILE感染症対策部 事業推進課感染症医療整備担当 沼口 氏(左)、櫻井 氏(右)組織名:東京都福祉保健局住所:〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号問合せ先:03-5320-4347使用製品ArcGIS OnlineArcGIS Web AppBuilder課題・診療および検査の需要増加・スマートフォンから便利で快適に受診先を導入効果・直感的な操作・閲覧・受診予約をワンタップコール・わずか1か月間のノーコード開発・継続的な運用と改善検索東京都は、約1,400万人が生活する世界有数の大都市であることに加え、通勤・通学による流入や国内外からの観光での来訪などから感染症拡大のリスクが高く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以前より、感染症予防ならびに危機管理体制の強化等を図っていた。新型コロナウイルス感染症は、 2019年(令和元年)12月初旬に、中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから、わずか数か月ほどの間にパンデミックと呼ばれる世界的な大流行となったが、東京都はさまざまな予防ならびに感染対策を迅速に行っていた。東京都福祉保健局は、急増する発熱患者等の診療および検査の需要増加に対し早急な対応が求められていた。ArcGIS OnlineのWebアプリ構築ツールであるArcGIS Web AppBuilderを利用して「診療・検査医療機関アプリ」を約1カ月という短い期間で構築し、現在も運用を行っている。このアプリは、PCやスマートフォンから利用者が直感的な操作で、診療・検査医療機関の受付可能な時間帯や診療対象者、検査方法などを絞り込んで検索し、さらにワンクリックで電話予約も可能である。東京都は、宮坂学副知事をチームリーダーとして、新型コロナウイルス感染症に関する情報発信を担う特別広報チームを立ち上げるなど、2020年(令和2年)2月より、都民に向けて積極的な情報発信を行っていた。東京都福祉保健局においては、発熱外来を行う診療・検査医療機関の医療機関名、住所情報等をインターネット上で地図とともに掲載していた。2022年(令和4年)1月、オミクロン株による感染者数の急増による発熱患者等の診療および検査の需要の増加に伴い、新たにスマートフォンからでも便利で快適に受診先を探せるマップ機能への改善が求められていた。東京都では、店舗等の感染防止に向け、感染拡大防止に積極的に取り組む事業者のマップや、「感染防止徹底宣言」に登録されている店舗のマップなど、ArcGIS Onlineをさまざまな部局で利用していた。そのため、利用者が直感的に操作・閲覧が可能なシンプルなインターフェイスをArcGISで実現できることは理解していた。ArcGISでWebアプリを構築すると、診療対象者(小児・妊婦など)や受付可能な時間帯などから、地図上に表示する診療・検査医療機関を絞り込む機能が容易に実現できる。さらに、プログラミングなしで、実現したい機能を迅速・容易に公開し、公開後においても柔軟に変更対応ができることも採用後の高評価につながっている。アプリの構築にあたっては、ArcGISOnlineのWebアプリ構築ツールであるArcGIS Web AppBuilderを利用した。その場で画面を見ながら、実装したい機能を設定ベースで反映することができ、アジャイル開発的に迅速かつ容易に変更・修正を繰り返しながらブラッシュアップを行っていった。また、新たに準備したスマートフォンでの操作画面も、直感的な操作・閲覧が可能であるシンプルなインターフェイスを実現することができた。都内約4,200機関の診療・検査医療機関マップを“爆速開発”東京都福祉保健局

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