自治体における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.20PROFILEスマートシティ推進室大村 周平 氏組織名: 渋谷区デジタルサービス部住所: 〒150-8010使用製品ArcGIS自治体ソリューションライセンスArcGIS OnlineArcGIS for Power BIArcGIS Hub課題・行政データの利活用・庁内のデータ整理導入効果・区職員のデータ活用・「渋谷民」への行政情報公開・Microsoft社製品との連携利用スマートシティ推進室東京都渋谷区宇田川町1-1図1 渋谷区長期基本計画の構成■ArcGIS選定の理由■概要■課題認識と取り組み方針「渋谷」という地名は、誰もが聞いたことのある地名だろう。若者カルチャーの中心地や訪日外国人の観光地でもある渋谷駅をはじめ、恵比寿駅や原宿駅など、エリアごとに異なるさまざまな属性の人々が集う日本を代表するエリアである。来訪者の人口が区民の人口よりも多いこの区では、区民だけでなく来訪者も含めて定義した「渋谷民」を対象に行政施策を展開している。そのような中、渋谷区で2020年(令和2年)から発足したスマートシティ推進室(前身組織含む)では、渋谷区の基本構想である「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現のため、デジタル技術とデータの共同活用推進を掲げ、各種データを活用した地域課題の解決に向けた事業の推進を主な任務としている。官民データ活用推進基本法が2016年(平成28年)に制定されてから、各自治体では情報公開やオープンデータへの取り組みが盛んに行われてきた。渋谷区では一部のデータをオープンデータとして公開し、それ以外の情報は部署ごとに区のWebサイト上で表示していた。しかし、データ公開といっても、ExcelやPDFの埋め込みだけにとどまっており改善の余地が多くあった。また、区の各事業において、データの収集や分析、活用が進んでいるとは言い難く、業務でのデータ活用に対する認知と理解の促進が必要とされていた。そういった状況を変革していくため、区の置かれている状況を、グラフや地図等でわかりやすく可視化し、現状把握していく「シティダッシュボード」の事業が開始された。シティダッシュボードの開発テーマとして、「渋谷区長期基本計画に掲げた分野別のビジョンに対し、現状はどうなっているのかを把握する」という視点で、テーマの選定とデータの収集をスタートした。具体的には、可視化するテーマごとに各部署から職員がメンバーとして参加する庁内横断のプロジェクトチームを編成した。そのメンバーに対して、たとえば「バリアフリーの推進」という観点でどのようなデータがあるのか、あるいは不足しているのかといったヒアリングを実施した。その後、保有データを使った「シティダッシュボード」を作成し、プロジェクトメンバーと共にレビューを進めた。このプロセスを通して、「行政の保有するデータとは何か」という認識や、「データがあるとできること」についての理解が少しずつ進んでいった。職員の認識が変わり始めると、次にマップの表現強化に取り掛かった。渋谷区ではMicrosoft社のPower BIを全職員が利用できる環境が整っていたが、Power BIに標準搭載のマップ機能では、GISのように複数のデータを重ね合わせての表示切り替えといった高度な表現ができなかった。そこでPower BIに搭載されていたGISのアドインツールである「ArcGIS for Power BI」を活用し、マップの表現強化を行った。ArcGIS for Power BIの主な機能・ レイヤーの表示切り替え・ シンボル設定・ ArcGIS Online上のデータ追加GISを活用し庁内に埋もれていたあらゆるデータに光を浴びせる渋谷区

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