自治体における地図の活用事例集
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Case Studies Vol.16■ArcGIS採用の理由■課題解決手法■効果■課題と今後の展望ワークショップの様子長岡市ポータル トップ画面避難所マップ> 住民サービス > 統合型*本稿は2020年1月に作成されたものですキング。証拠に基づく政策立案)を目指すには、もっと敷居を低くして、簡単にGISを使える仕組みが必要だった。ArcGISは以前から使われていたが、新たなシステムの導入に関しては、より多くの職員に使ってもらうため、GISを使うハードルを下げることさまざまなGISが比較検討された。その中で、ArcGISのPortal機能に可能性を感じたと言う。まずポータルのトップ画面が、デスクトップGISと異なりキャッチーで、また「アプリ」を利用するという概念が若い職員に非常にArcGIS Enterpriseのデータ移行がしやすいというのも情報システム管理の観点からは重要だった。ヘビーユーザーとライトユーザーの両方のGISライセンスの利点である。ArcGIS)の併用を考え、朝日航洋の統合型GISソリューションである「スマートアイマップポータアプリ作成に関する研修には50名以上が参加が必要だった。その観点から、ArcGISに限らず合っていた。また、もちろん、今まで使用していた構成を満たすことができるのが、ソリューションデスクトップGISと、ブラウザ(Portal for ル」の採用が決まり、2018年の秋から開発が始まった。2019年2月には試験運用が開始された。朝日航洋による操作研修も行われ、今までに、基本操作に関しては100人以上、コンテンツやした。また操作マニュアルも掲示し、誰でも自由に見られるようにした。「職員の地図を作ることへの抵抗がかなり薄れたと思います。」と鈴木氏は語る。実際、庁内の共有レイヤーに触れ、編集をするユーザー数が、以前の30から70に増えたという。それまで閲覧しか行っていなかったユーザーがポータル導入により更新ユーザーになったのだ。従来の統合型GISでは機能制限があり、自由に使うにはデスクトップGISが必要だったが、ポータル導入により簡単に利用・地図作成までができるようになった。情報システム管理課には多くのアドレスマッチングの要望が寄せられるようになったという。各種業務の主題図の作成の意識が高まってきたのだ。「職員の地図というものに対する概念が変わったかもしれません。Webアプリというコンセプトが非常に良いです。必要な機能だけをくみ上げた業務ごとのアプリを作成できるので、職員たちが自分でアプリを作成するようになりました。」目的の地図を表示するためには、以前は多数のレイヤーから探して表示する必要があったが、ポータルにより目的の地図・アプリにすぐ到達でき、機能も必要なものだけ選択することができるようになった。職員が作成した主題図の中には、高齢者の通いの場のマップや図書館利用者、利用率のマップ、農地地番で所有者管理を行うマップなど、各部門が業務に必要なものに特化したさまざまなマップがある。地図の閲覧からポータルを利用した自らの手によるマップの作成へとGISの利用が大幅に進んでおり、個人で地図を作れる自由度が利用促進につながっているが、一方で地図の把握・管理のリスクも増えつつあるという。職員の異動に伴う、新たなマップの所有者や共有範囲決めなどが必要になってきているそうだ。また、長岡市にとってGIS利用の最終的な目標は、GISがEBPMで活用されること、施策形成支援・政策立案へと使われることである。市長やマネージャークラスのアウトプットにGISが活用されることが期待されている。また利用促進に伴い、業務利用以外でもGISの活用例や業務課題の抽出が期待されている。長岡市は、その未来へ向けての新しい一歩として、2019年(令和元年)秋に初めての部署横断型ワークショップを開催した。住民ポイントをアドレスマッチングを行い可視化し、各部門が持つ主題図との重ね合わせを行う。主題図同士の重ね合わせも初めて行われた。「地図を使って何かを考えることが一番重要です。ポータルを使っているアカウント数は約2,900あります。そこから何か宝物が出てくるのではないか、それを期待しています。」と鈴木氏は語った。GISの本質を見据えた高い志を持ち未来を目指す長岡市。ESRIジャパンも今後を期待し、応援していきたい。活用事例「アプリ」という概念がGIS利用のハードルを下げ職員による業務アプリの作成が始まった

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