5Case Studies Vol.17 ArcGIS Insightsを活用した予測モデルの視覚化> 危機管理 > 新型コロナ対応■ 今後の医療活動を効率的に行うための試みりました」と語った。タスクフォースは、病(IHME)モデルが活用された。モデリンArcGIS Insightsを活用することで、空ArcGIS Insightsを選択した理由は、膨するだけでなく、この前例のない危機が近い将来どうなるかを予測する必要もあ院管理者がデータベースに蓄積されたデータを簡単に閲覧し現状を把握するためのソリューションを必要としていた。作業をすぐさまスタートし、スプレッドシートに蓄積されたデータを元にデータベースを構築し、グラフィカルに表示することで現状把握は可能になり、ケンプ知事に対する助言を行うこともできた。しかし、病床と人工呼吸器の需要予測は依然として困難だった。病床と人工呼吸器の需要予測モデルの開発のために、ジョージア工科大学やマサチューセッツ工科大学などさまざまな機関の協力を得ながら、ペンシルベニア大学の新型コロナウイルス病院影響モデル(CHIME)のデータと、ワシントン大学の保健指標評価研究所グの結果を視覚化するために、開発チームはArcGIS Insightsを選択した。間および非空間の分析を探索的に繰り返し実行できるようになった。「私たちが大なデータに基づいた意思決定を行うための単一の仕組みが必要だったからです。モデルのさまざまな組み合わせを見て、州内に14か所ある地域病院のカバーエリアごとに分解して、現在のキャパシティと対応能力を予測値とともにより深く理解できるようにする必要がありました」とミラー氏は語った。ArcGIS Insightsを活用することで、タスクフォースはさまざまなモデルの出力を1か所にまとめて迅速かつ効率的に視覚化し、意思決定者が簡単に利用できるようにした。「州当局者にとってデータを可視化する機能は信じられないほど便利であるのに加え、作業時間の節約は天文学的なものでした。私は州当局者の部屋に座って、彼らがArcGIS Insightsの可視化機能を使って結論を導き、意思決定を行う現場に立ち会いました。分析機能と可視化機能は非常に強力で、意思決定を効果的に支援していました」とミラー氏は述べている。「以前なら導き出された洞察や、モデリングチームの作業結果にアクセスすることができなかったであろう人たちに透明性を持ってデータを渡すことができるようになりました」と続けた。このプロジェクトを通し、州の意思決定者は能になったのである。次のセクションでは、開発が急がれている新型コロナウイルスワクチンの効率的、公正な配布を進める上での課題とGISの可用性を紹介する。新型コロナウイルス感染拡大下における病院のキャパシティと感染拡大が進んだ際の適応能力をよりよく理解できるようになり、今後の感染拡大に備えることが可早ければ2020年内に新型コロナウイルスワクチンの配布開始が予定されているため、世界中の政府は、ワクチンを大規模に配布する準備ができている必要があるだろう。これには、ワクチンの氷点下での保管要件を満たす冷凍庫の確保、脆弱なコミュニティの支援、告知・連絡体制の確立など多くの課題が含まれる。そしてこれは、歴史上最も複雑で世界的な予防接種の実施になるだろう。パンデミックが始まって以来、2020年を通じて、政府および感染症対策の担当者は、前述のようにデータ共有、分析、および計画策定のためにGISテクノロジーを活用してきた。そして、同じGISアプローチがワクチンの配布においても不可欠であることは明白だろう。ワクチン配布の優先順位と、告知に関連する計画を調整したり、物流とサプライチェーンの容量と運用を分析したりするなど、すべての取り組みにおいてGISは、効率的で公正なワクチン配布の計画、実施、および管理を支援するための基盤となるだろう。すでに、米国では保健社会福祉省(HHS)が国防総省(DoD)および米国疾病予防管理センター(CDC)と連携して、2020年秋に暫定的なワクチン配布のガイドラインを発表している。GISは、ワクチンの迅速かつ透明性をもった配布、安全な管理、リアルタイムなトレーサビリティの担保を実現するITシステムの不可欠な部分であり、ワクチン配布の取り組みの中心的な役割を果たすことが期待されている。その取り組みの中で、GISが以下の5つの課題領域で威力を発揮するであろうと考えられている。GISを活用~上での課題とGISの可用性活用事例
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