Case Studies Vol.17 31「山の神」アプリGIS Day in 伊勢 講習会の様子Twitterユーザーの1日単位の市区町村内移動ユーザー率マップ(2020年10月5日時点)とアクセス用QRコード(右)> 人材育成 > 教育■効果■今後の展望ArcGIS Onlineが活用された。ArcGIS Onlineは学生のPC環境を問わずに利用また、2017年から毎年、地域や学生など「GIS Day in 伊勢」が開催されている。いる。GIS研究の促進また、ESRIジャパン協力のもと、教員に対でき、十分に充実したGIS教育を行うことができた。に対するGIS教育とGISの普及を目指した外部講師を招いたGIS教育・研究に関する講演会と、GIS講習会が開催されており、GIS講習会では、自治体・まちづくりコースと、「地理総合」必履修化に向けた高校地歴コースの2コースが基本となって学内でのGIS利用促進のため、2017年には東京大学空間情報科学研究センターの研究会が皇學館大学で開催された。するGIS講習会兼相談会が開催された。このような取り組みに加え、GIS教育の展開やGIS Dayの開催を通して、GIS研究のネットワークが学内外で拡大するようになり、学内での研究利用が増えつつある。学内で行われている主なGIS研究は、Twitterデータの空間的な分析、法人番号データに基づく宗教法人データベースの構築と神社周辺人口の将来推計などである。ArcGIS Onlineは、このようなGIS研究に関する研究成果の公開や共有のプラットフォームになるものである。例えば桐村准教授は、COVID-19の拡大に伴う人々の行動の変化を可視化するために、ArcGIS Web AppBuilderを利用して、位置情報付きTwitterデータに基づく「Twitterユーザーの1日単位の市区町村内移動ユーザー率マップ」を作成、公開している。このマップからは、COVID-19の拡大に応じて、Twitterユーザーが長距離移動しなくなった状況などが読み取れる。データは随時更新されており、直近の状況を把握できるようになっている。GIS教育の展開により、GIS学術士資格への関心が高まっており、資格取得を希望する学生も多くなっている。卒業研究などでのGIS利用も増えてきており、GISが活用できる人材が育成されつつある。また「GIS Day in 伊勢」は継続して開催されてきており、参加者は年々増加してきた。三重県教育委員会の協力も得て、現役高校教員の参加も増えている。加えて、学内でのGISの普及が進み、新たな共同研究も生まれた。その成果の一部は、2019年に刊行された『ツイッターの空間分析』(桐村喬編、古今書院)にもまとめられている。2020年には、「歴史×GIS研究会」と称して、神道学科の板井教授、コミュニケーション学科の桐村准教授、国史学科の長谷川助教が参加し、伊勢市を中心とする地域の様々な歴史資源をGIS化し、活用する試みが進められている。2023年(令和5年)春には、「GIS学術士」資格に対応したカリキュラムの最初の卒業生を送り出すことになる。また、その頃には、GISを活用できる人材がコミュニケーション学科だけではなく、それ以外の学科にも育つと考えられ、皇學館大学におけるGIS教育は次のステップに移ることが予想される。GIS研究についても同様であり、学内での共同研究が進むことで、三重県におけるGIS教育・研究拠点の1つとして、さらなる飛躍が期待できる。伊勢志摩を中心とした地域資源のデジタル化と利用から人材育成までGISを幅広く活用活用事例
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