ArcGIS 事例集 Vol.17
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Case Studies Vol.1729> 人材育成 > 教育■課題解決手法■効果■今後の展望り複数の資料を関連付けたりして考察することが重要である。これに関して井上講師(ArcGIS Survey123)を活用し、学習をArcGIS Survey123を通じて三津浜中学した。ント)、危険を防ぐ工夫がされている場所(安全ポイント)を記入させた。また、その用能力の育成のためには、資料を解釈したは、生徒に主体的に資料活用を促すためには、生徒自身が調査した情報に基づく資料を作成し、既存の資料と比較する学習活動が有効であると考えた。そこで、まずGISを活用して、松山西署から提供を受けた実際の交通事故が起きているポイントデータ等を活用して加工し、教材開発を行った。次に、生徒自身が調査した結果を1つの地図にリアルタイムに反映できるアプリ行った。これにより、限られた授業時間の中で生徒の主体的な学習を実現できると感じた。今回の学習では、クラウド型GISサービスArcGIS Onlineと野外調査用アプリ校周辺の危険な場所の特徴について調査まず、生徒に紙の地図に自分の通学路を記入させ、危険を感じる場所(危険ポイ際に同じ学区内の小学生が作成した「交通安全マップ」も確認し、小学生との考えの違いを実感させた。次に、フィールドワーク調査を実施した。ここでは、愛媛大学の学生も参加してエリアごとにグループに分かれ、三津浜中学校周辺の見通しの悪い交差点などの「危険ポイント」や、カーブミラーの設置など「安全ポイント」を調査し、大学生を中心にArcGIS Survey123を用いてスマホで情報を入力した。2年生全体で378か所のデータを入力した。入力したデータがリアルタイムにArcGIS Dashboardsへ反映されることで、楽しみながらデータ入力の作業を行うことができた。フィールドワーク後に愛媛県警より提供を受けた実際の事故発生ポイントデータとArcGIS Survey123で調査したデータを重ね合わせて、自分たちが調査したデータとの相違点や一致点について意見交換した。「スーパーの周辺で事故が多く発生している」、「狭い通りよりも大通りでの事故の発生が多い」といった意見などが出た。そして、松山西署の担当者より、実際の事故が起こりやすい場所や三津浜地区・宮前地区で発生する交通事故の特徴、安全を守る取り組み(カーブミラー・クランクの設置等)の意味について地図を見ながら説明を受けた。その中で、実際にどのように自分たちの通学路の安全が確保されているのかということについて、関わっている機関や団体、安全点検の体制についても説明を受けた。これによって、生徒は自分達の目線で通学路の安全を確保するために要望を上げることが大切だということに気付くことができた。また、自分たちが考えた意見を地域の安全を守る取り組みに活用するための方法として、警ら箱があることを学んだ。このようなGISを活用した学習の意義は、自分たちが学習したことが地域の安全をめぐる課題の解決に貢献していることに気付く点にある。つまり、生徒に地域社会の形成者としての自覚を持たせ、学習の意味付けを可能にしているのである。現地調査アプリを使い調査実習・集計が簡単に行えるようになったことで、より多くの授業時間をディスカッションや考察の時間に充てることができた。地域を管轄している警察署の方から実際の交通事故の現状や、危険を防ぐための工夫について学んだことは生徒にとって大いに刺激的な学習体験となった。授業後のアンケート結果から、自分が調査した情報が地域の課題解決につながることに気付くことで、自らが地域の安全を守る担い手であるという自覚を持つことができたことが明らかになった。今回紹介した「三津浜安全プロジェクト」を開発した井上講師は、2020年度「初等中等教育におけるGISを活用した授業に係る優良事例表彰」を受賞した。文部科学省ではGIGAスクール構想(※1)が議論されており、教育現場は今後急速にICT活用が普及するだろう。重要なのは、生徒の資質・能力を育成するためのICTの活用方法を検討することである。ESRIジャパンでは今後もGISを活用した教材開発および授業開発を推進していく予定だ。中学生が地域の危険な場所・安全を守る取り組みを調査!地域社会における未来の担い手を育成活用事例

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