ArcGIS 事例集 Vol.18
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PROFILE42Case Studies Vol.18技術・業務革新推進室データ戦略・高度化グループ グループマネージャー データサイエンスリーダー メンバー 福田  聡 氏(前列中央) メンバー 田口 修平 氏(前列左) メンバー 藤代 圭太 氏(前列右)・送配電網の安定化・設備運用・保全の効率化導入効果・電力の安定供給・託送事業の費用削減大福 泰樹 氏(後列右)山内 有倫 氏(後列左)組織名:東京電力パワーグリッド株式会社住所: 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-3使用製品ArcGIS ProArcGIS 3D Analyst ほか課題■概要■課題■ArcGIS採用の理由■課題解決手法東京電力パワーグリッド株式会社は、送配電設備の運用・保守効率化を目的として、社内外のデータ活用を推進する「データサイエンスチーム」を設置している。データサイエンスチームでは、地理情報の汎用的な分析基盤としてArcGISを導入しており、複数の分析プロジェクトで活用している。今回は同チームがArcGISを用いて取り組んだプロジェクトとして「送電線の地上高可視化」、「配電線不良発生個所の環境分析」、「通信ケーブルの道路等縦横断抽出」の3つの取り組みを紹介する。東京電力パワーグリッドは、2016年(平成28年)4月に東京電力より分離され、東京電力管内の託送事業を担う、一般送配電事業会社である。送配電事業会社としては、日本国内最大の需要家数を誇っており、世界全体で見ても最大の送配電事業会社の1つに挙げられる。この事業規模に加えて、停電時間の少ない安定供給を実現していることも同社の託送事業の特徴として挙げられる。こうした状況から、省エネの推進、再生可能エネルギーの普及拡大や、EV普及、人口減少といった社会環境に適応しつつ、大規模・安定供給を続けることが同社の経営課題として掲げられている。東京電力パワーグリッド社内には、自社設備に関する情報をはじめ、豊富な地理情報が眠っている。それに加え、近年では、衛星画像、地形情報など、社外から入手ができる地理情報のバラエティも豊富になっている。前述したような安定供給を実現するためには、こうした社内外の「資産」とも呼べる豊富な情報を活用し、効果的な設備更新、系統運用をどのように実現したらよいかという知見を得る必要がある。こうした状況を背景に、東京電力パワーグリッドは、電力需要や設備データなどのビックデータを分析し、業務変革につなげる組織として、技術・業務革新推進室 データ戦略・高度化グループにデータサイエンスチームを設置した。データサイエンスチームでは、社内外の情報分析のための基盤を整備している。地理情報の分析基盤としては、ArcGIS Proおよび各種エクステンション製品を導入し、それらを活用するため、OJTを中心として人材育成に取り組んでいる。データサイエンスチームはその職務上、特定の決まったデータ処理業務をこなすのではなく、社内のさまざまな部門からの相談に応え、データ視点から分析課題を抽出し、その解決に取り組む必要がある。そのため、汎用性に優れ、3Dでの空間分析をはじめ、さまざまな分析が可能で国内外で導入実績が多くあるArcGISを地理情報分析基盤として採用した。送電線の地上高可視化ドローン航空規制では、地表または水面からの高さが150m以上のドローンの飛行を制限している。ドローンが使用可能な区間を把握するため、現在保有のデータをArcGIS Proを用いて可視化することにより、送電線の地上高が150mを超過する箇所の有無の把握が可能となった(図1)。配電線不良発生個所の環境分析電柱などに代表される配電設備の劣化故障は、設備更新においてコストの増大要因の1つである。データサイエンスチームでは、社内の設備故障履歴情報を、地形モデータサイエンスチームの立ち上げ汎用的な情報分析基盤としてのGISの利活用推進東京電力パワーグリッド株式会社

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