Case Studies Vol.1841雷事故率と道路幅の相関出典元:「地理情報システム(GIS)を用いた雷事故率と道路幅との相関に関する検討」, 令和3年電気学会B部門大会 論文集, 2021,論文番号145, 5WEB2-12仮説の概念図道路中心線の例電柱から最も近い道路中心線に下した垂線の例> 公益サービス > 電力■課題解決手法■効果■今後の展望(3)道路幅の算出道路のデータは、ESRIジャパンが販売するデータ加工・調整済みのGISデータ集「スターターパック」を使用した。道路のデータソースは、国土交通省国土地理院数値地図(国土基本情報)である。道路のデータをArcGIS Pro上に表示すると、道路中心線を示すラインフィーチャになる。道路幅の算出は、多くの電柱は道路際に建柱されているため、道路中心線と電柱との距離をArcGISの空間解析機能を使用して算出し、その2倍を道路幅とすることで一括計算した。空間解析機能では、電柱から最も近い道路中心線に下した垂線の距離を算出することができる。(4)結果・ 道路幅が20m以下の範囲では、当社管内の特高・高圧電柱(※4)における雷事故率と道路幅は、強い正の相関がある(相関係数は約0.82)。・ 道路幅が20m以下の範囲では、当社管内の高圧電柱(※5)における雷事故率と道路幅は、中程度の正の相関がある(相関係数は約0.60)。・ 仮説は、特高・高圧電柱および高圧電柱における雷事故で成り立つ。※4: 特別高圧(22kV、33kV)の電気を送電する電線と高圧(6.6kV)の電気を送電する電線が架線されている電柱※5: 高圧(6.6kV)の電気を送電する電線が架線されている電柱本研究により、道路幅が広い箇所の電柱は雷事故が発生しやすいという結論を得た。そのため道路幅が広い箇所の電柱に対して対策を講じていくことが有効であるということがわかった。その結果、新たな配電線事故対策工事箇所の優先順位付けが可能となることで、雷事故を未然に防止することに繋がる。道路幅と雷事故率との関係について検討を実施したため、今後は電柱に近い建物との距離や建物の高さと雷事故率について検討を実施していく。雷事故に限らず、ArcGISを活用してさまざまな環境要因や設備状態と配電線事故について相関分析を進めることで、新たな予防保全技術の確立を目指していく。また今回の分析では、ArcGISのみでは機能が足りず、アウトプット成果を作成することができないところがあり、他のソフトと組み合わせる必要があったため、今後ArcGISの機能が、より充実することを期待している。いるのかを突き止め対策を講じるためには、ことやトレーニングプログラムが豊富であること、今後の研究開発における分析にも広く活用できるソフトであると考えられるため、ArcGIS Proの採用に至った。(1)仮説の立案くなるということがこれまでの研究で判明している。これに着目し、「道路幅が広いほど、雷ため、雷事故は多い」という仮説を立てた。(2)雷事故率の算出した。雷事故電柱は、10年間(2010年度〜2019年度)に関西エリアで発生した配電線出した。雷事故率は道路幅(1m)ごとに算出した。わかりやすく可視化し分析することが必要である。また、他社での導入事例が多数ある直撃雷と誘導雷を合計した雷事故率は、配電線の周辺に構造物がある場合の方が小さ遮蔽効果のある配電線周辺構造物は少ない電柱は、2020年度(令和2年度)時点の関西エリアに施設されている全電柱を対象と事故の内、発生原因が雷害であるものを抽道路の幅と落雷による停電の関係を明らかに!活用事例
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