PROFILE40Case Studies Vol.18ArcGIS ProESRIジャパン データコンテンツ スターターパック・落雷による停電事故を未然に防ぐ予防保全導入効果・新たな事故対策工事箇所の優先順位付けが・落雷による停電事故の未然防止関電ビル技術研究所 片柳 氏(左)、都村 氏(右)組織名:関西電力株式会社住所:〒661-0974兵庫県尼崎市若王寺3-11-20問合せ先:技術研究所 流通技術研究室(系統・配電)使用製品課題対策が必要可能■概要■課題■ArcGIS採用の理由※1:「S+3E」とは、安全確保(Safety)+エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済性(Economy)、環境保全(Environmental Conservation)※2: 雷が対象設備(電柱や電線など)に直撃すること※3: 付近の樹木や建物への直撃雷により電線やケーブルに誘導される雷サージ(異常電圧および異常電流)のこと関西電力株式会社は関西圏内を主な営業地域とする電力会社である。関西電力グループはエネルギー、送配電、情報通信、生活・ビジネスソリューションを改めて中核事業に据え、その周辺に重なり合う新たな価値を創出し続けていく。こうした取り組みにより、さまざまな社会インフラ・サービスを提供するプラットフォームの担い手となり、地域の人々と社会の役に立ち続け、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。さらにガバナンス確立とコンプライアンス推進を事業運営の大前提にし、「ゼロカーボンへの挑戦」、「サービス・プロバイダーへの転換」、「強靭な企業体質への改革」を取り組みの柱としている。またエネルギー事業では多様化する暮らし、社会にエネルギーの新たな価値を提供するために、「S+3E(※1)」のバランスのとれた電源構成を目指すとともに、「電源のゼロカーボン化」、および水素社会に向けた検討・実証に取り組んでいる。加えて、「電化の推進」に取り組むとともに、新たなライフスタイルや、ゼロカーボン化、レジリエンス向上等の、多様化するお客さまのニーズに寄り添い新たな価値を提供している。電力を安全に安定して届ける技術を研究・開発している技術研究所では、停電の要因の一つである雷による影響について、ArcGISの空間解析機能を用いて解析を行った。その結果、雷事故率と道路幅の関係性があることが明らかになり、事故対策工事の優先順位付けなどに繋げることが可能となった。近年、これまでにない強風をもたらす台風の襲来などにより、停電被害が広範囲に長期間発生する場合があり、停電に強い設備の構築など、レジリエンスの向上が急務となっている。関西圏内においては2018年(平成30年)の台風21号により設備被害を受け、大規模停電を発生させたことが記憶に新しい。一方、年間を通した停電(以下、配電線事故)の件数に対して、雷に起因する事故(以下、雷事故)比率は約2割と最も高い状況である。雷事故は主に直撃雷(※2)と誘導雷(※3)によるもので電柱が建柱されている環境という外的要因が影響している。従来から配電線事故防止を目的として要因別分析を実施しており、現在もさまざまな分析がなされ対策が講じられているが、近年目覚ましい発達を見せている解析ソフトによる空間解析機能を活用すれば、地理的アプローチによる高度な配電線事故分析を行える可能性がある。そこで雷害対策をより省コストで効率的に、より効果が大きい箇所へ講じるための研究でGISを利用することとした。雷事故の原因には外的要因が複数存在し、その原因がどのように絡み合い関係して電力の安定供給に向けた落雷による事故分析でArcGISを活用関西電力株式会社
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