PROFILE18Case Studies Vol.18ICT開発推進室 開発課林 佑亮 氏組織名:株式会社帝国書院住所: 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町3-29電話番号:03-3262-4795URL:https://www.teikokushoin.co.jp/使用製品ArcGIS OnlineArcGIS ProArcGIS StoryMaps課題・ 2022年度地理総合必修化に向けた、授業で導入効果・ クラウドGISを利用することで様々なICT環境・ GISコンテンツ、問い(ワークシート)、教科書をセットで利用することにより専門外の先生・初めての生徒でも使いやすく効率的な授業が可能のGIS活用に対応帝国書院:地理総合の教科書と地図帳■概要■学校現場が抱える課題■ArcGIS採用の理由株式会社帝国書院は1917年(大正6年)の創立以来、地図帳や社会科の教科書などを製作・販売している。2022年度(令和4年度)より高等学校で必修科目となる「地理総合」に向けた取り組みの1つとして、高等学校用GIS教材「アクセスWebGIS」を開発した。本教材には、帝国書院の地理総合の教科書に記載されたQRコードからインターネットでアクセスし、授業や自宅学習で利用できるようになっている。「地理総合」では、ESD(持続可能な開発に向けての教育)、国際理解、防災と並び “GIS” が重要なキーワードになっている。世界規模で深刻化する地球環境問題、大規模化する自然災害、グローバル化する地域社会という課題に対して、従来の紙地図を用いた教育に加えて、ICTの発展に適合したGISの活用が重要となってきた。しかし、学校現場でのGIS活用においては、下記の理由などからハードルが高いと感じていた。・ PCが使える教室の確保等、学校のICT環境の整備・ GISの実習時間の確保・ 地理を専門とする教員が少なく、歴史や公民を専門とする先生が地理を担当することが多い・ GISで何を教えたらいいのかわからない先生が多いこれらのハードルがあるものの、帝国書院では、将来の学校におけるICT環境の整備を見据え、授業の負担が少なく、誰でもどこでも利用できるクラウドGISサービスを活用した教材として「アクセスWebGIS」を開発した。帝国書院では、新学習指導要領で地理科目の必修化が決まって以来、GISを活用した教材を検討していた。その検討の中で、中学校用のデジタル教科書で以前から好評であった、教科書の展開に合わせてコンテンツや図版がスライドショー形式で見られる「授業スライド」とそれに対応したワークシートのセットが、既にアメリカやオーストラリアの地理教員が公開していたArcGIS Onlineを活用したWebマップとワークシートを組み合わせたGIS教材の取り組みに似ていることを知った。この取り組みでは、GISコンテンツを含むWebマップとワークシートが1つにパッケージ化されていることで、教員の事前準備の負担が少なくなっている。また、これにより地理が専門ではない教員も利用しやすい。そこで日本でもこれを参考にすることで、誰もが使いやすいGIS教材を開発できないかと考えた。さらに、ArcGIS Onlineで公開することで、教科書の紙面に掲載されているQRコードからアクセスできるため、ソフトウェアやアプリの事前インストールも不要で、インターネット環境があれば、学校からでも自宅からでもすぐに教材を使える利便性も採用の理由の1つである。2022 年度地理総合必修化に向けたGIS活用のはじめの一歩となる「アクセスWebGIS」の開発株式会社帝国書院
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