ArcGIS 事例集 Vol.18
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プラットフォームPROFILE12Case Studies Vol.18研究主監 岩波 越 氏組織名:防災科学技術研究所住所:〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1問合せ先:首都圏レジリエンス研究推進センター使用製品ArcGIS API for JavaScriptArcGIS StoryMapsArcGIS EnterpriseArcGIS Image Server課題・複数の極端気象情報をまとめて公開・情報の重ね合わせが容易な実証実験ツール導入効果・研究成果のわかりやすい発信・外部機関とのデータ連携の促進・ 雨、風、雷、ひょう、雪の気象データを管理、リアルタイムな情報公開システムとして活用・ 外部機関との気象情報による実証実験ツールとして活用近年増加傾向にあるゲリラ豪雨や、突風、落雷などの極端気象は、たとえ局地的でも人口が集中する首都圏では日常生活や産業に大きな影響を及ぼす。レジリエントな社会の実現に向けて気象災害をはじめとする災害に関する多様な研究を行っている国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)では、極端気象の早期検知・予測手法の研究開発のため、首都圏で極端気象の要因である積乱雲の発生から消滅までの一生を最新技術で観測している。これらの観測データと特許を持つ解析技術等を使って、首都圏の雨、風、雷、ひょうに関するリアルタイムの気象情報を一元的にまとめ、ArcGISで地図に重ね合わせたWebサービス「ソラチェク」を開発し、2020年(令和2年)6月に公開した。さらに2021年(令和3年)2月からは、大雪の際に、建物やカーポートなどの被害発生の目安となる屋根雪の重量や、道路管理等に役立つ着雪重量等、雪に関する情報の掲載を始めた。防災科研では、雨量の正確な把握、雨雲の中の風の観測や、雨、雪、ひょうなど粒子の種類の判別が可能なXバンドマルチパラメータ(MP)レーダーや、雷の放電点の3次元的な位置を■概要■課題■ArcGIS採用の理由ArcGISを基盤としたGISプラットフォームの特長ArcGISを基盤としたGISプラットフォームの特長把握できるシステムなどの観測網を首都圏に整備し、積乱雲の早期検知・予測情報によって被害の防止・軽減を図るための研究開発を行っている。解析には、気象庁等から提供される風や雪に関する観測データも利用している。これらの気象情報を一般向けに公開するにあたり、一人ひとりの具体的な行動につながる情報の提供を目指して、以下の点を満たすサービスを検討した。・ 地図上で複数の気象情報や施設の位置情報を重ねて見ることができる・ 地図の拡大・縮小などユーザー操作が簡単である・ 気象情報をリアルタイムに閲覧できるまた、ソラチェクで集約した気象データと外部の組織が持つデータを重ねて解析、表示するために、異なるシステム間でのデータ共有を可能にする柔軟性も重視した。ソラチェクの公開システムとして、ArcGIS Onlineが採用されたのは、以下の理由である。・ ユーザーが地図上で複数の気象レイヤーの表示や切り替えを簡単に行えるリアルタイムの各気象データをレイヤーとして地図上で任意に表示でき、地図の移動・拡大・縮小も簡単な操作で行える・ ユーザーが各気象情報に直感的にアクセスできる公開用テンプレートが充実している雨、風、雷、ひょうに関する気象情報を種類ごとに表示できる公開用テンプレートが用意されており、ノーコードもしくは既製のライブラリを使用してWebアプリを作成できる・ ユーザーが地図上で過去2時間の気象データの変遷を確認できる極端気象の情報提供サービス「ソラチェク」の開発防災科学技術研究所

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