ArcGIS 事例集 Vol.18
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Case Studies Vol.1811名古屋市新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策特設サイト帰宅困難者マップ津波からの緊急避難場所> 危機管理 > 防災■ArcGISの評価■今後の展望ることができ、実施後のスピーディーな対応もげられた。元となるデータを危機対策室が保有しているので、議会への資料作成も内製することで、短期間で簡単に行うことができた。るに至った。この防災スピーカー音声到達調査の成功により、庁内でのGISの認知も少しずつ上がり、ArcGIS Onlineの機能について講習を受けそのタイミングと重なったのがコロナ禍である。のストーリーマップを使用して作成・公開した。これも直感的な操作で作成ができたため、結果サイトが追加費用無しで作成することができた。・ 災害時の帰宅困難者対策る課題が2つあった。1つは現地との連絡・情もらい帰宅困難者を受け入れてもらうのだが、たため、多数の施設とのやりとりを効率化させる必要があった。2つ目は帰宅困難者に対する情報の発信である。避難所に市の職員が直接行ってオペレーションができない状況では、帰宅困難者が自可能になった。結果のマップは議会でも取り上防災スピーカーの設置はその後、アンケート結果を踏まえた聞こえないエリアの実地調査を行い、2019年(令和元年)にスピーカー増設の予算要求が行われ、2020年(令和2年)には実際に空白地帯にスピーカーが28か所設置され局内での更なる活用が期待されたため、2019年にESRIジャパンのコンサルティングによる勉強会が開かれた。局内の他課室(地域防災室、危機管理企画室)からも参加があり、主にた。それがきっかけとなり、他課室での利用も進み始めた。名古屋市では新型コロナウイルス感染症の啓発広報のためのWebサイトをArcGIS Online的にスピーディーな対応ができ、見栄えの良い他にも、名古屋市には帰宅困難者対策に関す報共有である。災害時に民間のビルに協力して帰宅困難者の受入れ状況に関する市と施設管理者との連絡は電話やFAXが想定されてい分から情報を取りに行き行動することができるようにするための情報発信システムが必要だった。このような課題に対して、名古屋市が保有していた既存の防災システムには、地図をベースに自由に情報を公開できる仕組みが無かった。そこでArcGIS Onlineを使ったサービスが構築された。既存の一斉メール配信サービスを流用し、ビルの管理者に一斉メールで開設状況や受け入れ人数に関するアンケートを送り、返信結果を自動でArcGIS Onlineの地図に反映させる仕組みを作った。また、昨今の多発する豪雨災害や新型コロナ対策を鑑みて、地域の住民が避難する避難所の開設状況や混雑状況に関する情報発信の必要性もあった。これらの情報は以前はテキスト情報として市のWebサイトなどに掲載していたが、わかりにくさがあった。そこでこれらの情報もArcGIS Onlineの地図上に可視化し公開する仕組みを構築した。具体的には、既存の防災システムからCSVデータとして取り出しArcGIS Onlineに取り込んだ。ArcGISは非常に汎用性が高く、オンラインであればだれでも簡単に触ることができた。また帰宅困難者マップ作成の例でもあったように、他システムとの連携のしやすさが非常に優れていたという。他のGISはGISの機能としてだけで完結しているものが多いが、ArcGISはArcGIS Survey123やArcGIS StoryMapsといったアプリが基本の機能として搭載されていることで活用の幅が広がった。またセミナーや事例などで、具体的な活用法などの情報提供が非常に有用であった。「防災危機管理局は、災害時に全体の情報をとりまとめてどう対応するかという作戦立案を行い、司令塔となる部署です。そういった意味でGISには無限の可能性があると思います」と山氏は語る。被害情報に加え、備蓄物資の情報、避難所、航空写真や衛星画像など、さまざまな情報をGISで統合し可視化することで情報の分析が効果的かつ迅速にできると考えている。情報の集約はまだアナログで、ホワイトボード上の地図で議論している状態なので、集約するだけで膨大な時間がかかっている。精度も低く、共有もうまくできていない。まずは情報の集約と可視化の実現が一番の課題である。将来的にはそれら情報の分析や地図作成を行う専門員を置けたらと考えている。 それらを実現するための第一歩として現在ArcGIS Enterpriseの導入を検討している。「ArcGISは防災科研やJAXAなどさまざまな所で使われておりシェアが高いため、情報の連携がしやすいというメリットがあります。災害対応用のGISが実現できたらと考えています。」アイデアとArcGISの機能が合致して課題を着実に解決活用事例

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