ArcGIS 事例集 Vol.19
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Case Studies Vol.1941ドローンの飛行計画ArcGIS Web AppBuilderを使用し、進捗を確認ドローンによる3D点群調査データとBIMモデルの比較の様子> 公益サービス > 建設■今後の展望「我々のBIMモデルとArcGISを統合することで、当プロジェクトの建設段階においていくつか利点があると分かりました。水道も可能です」。ArcGIS Network Analystを使用することで、チームがより効率的に建設計画を作ドローンによる測量BIM/GISを活用した新しい業務スタイル「ドローンによって、現場での物理的な検次のように述べた。管や電線などの公共設備を3Dデータとしてマップ上に表示させたことで、より効率的に作業計画を立てられます。たとえば、高架橋の基礎の建設中、構造的なダメージを防ぐために交差する公共設備を補強する必要があります。該当する設備の管理を担当する全ての関係者を巻き込むために、3Dバッファーツールで高架橋と交差する公共設備の種類を見つけ出し、補強するパイプの長さを計算します。また、同じデータを使い、上下水道や照明装置が必要な建設に適した場所を見つけ出すこと運搬ルートの計画支援交通ネットワークの解析に特化した成できると氏は付け加える。たとえば、廃棄物管理や資材運搬など、建設現場を回る作業の最適な運搬ルートの作成が可能になる。また、建設作業により交通の流れを断続的に止める際の、車線規制のためのバリケードの計画も作成できる。では、ドローンで取得した画像が使用される。「ドローンは3Dレーザースキャナーを使用し、現場や周辺環境の高解像で高精度な画像を作成します」と氏は語る。集められたデータセットは時間経過に伴う現場の進捗状況を評価し、車両や機器などの資源をより適切に管理するために使われた。また、切土や盛土の量を量ったり、廃棄物処理の方法を記録したりする際にも使用される。査に伴う安全上の課題を解決し、効率的に測量を行えます」と氏は述べた。ドローンは、 LiDAR点群データの業界標準形式であるLASファイルを作成する。このファイルには、GPSタイムスタンプなどの追加属性に加えて、大量のx、y、zの値を持つ3D標高ポイントデータが含まれており、これらのデータをArcGISで取り込むことができる。「ドローンで集めた3D点群調査データと当社のBIMモデルを照らし合わせ、建設の進捗状況を確認できます。点群とBIMモデルの比較には、オートデスク社のNavisworksの干渉チェック機能を使用し、計画と進行中の作業の評価を行います」。BIMモデルと比較しやすいように、チームは点群データのサイズを縮小して必要な点とデータのみを残し、さまざまな点群を組み合わせてプロジェクトのモデル全体を取得した。場合によっては、点群をサーフェスモデル、あるいは3Dオブジェクトに変換する必要があり、デジタル標高モデル(DEM)、デジタルサーフェスモデル(DSM)、ラスターRGBファイルを作成することがあった。その後、色などの詳細を追加していく。建築物のデジタルスキンを作成し、点群から生成された3Dモデルに追加することで、よりリアルに見せることができる。また、BIMモデルとの比較を可能にするために、人工知能(AI)を使用し点群内のプロジェクトの重要要素を自動検出するシステムを構築した。加えて、物流向けに現場の作業員と建設機器を自動識別するアプリケーションを開発している。今回のBIMとGISの活用により、高架橋建設の計画、施工、進捗管理のすべての段階において効率化を図った。また、ドローンで集められた3D点群データを使用し、計画と進捗の比較評価を行った。さらに、BIM/GIS活用によってトラブルやリスクを軽減できた。この強みは、高さのある高層ビルなどの建設においてはすでに実証されているが、当プロジェクトによって、線路や道路などの水平に長いインフラ建設においても同じ強みを発揮できることが分かった。また、このプロジェクトを通じて、 BIMとGIS間でデータの完全な相互運用を可能にするワークフローを開発した。今回の成果を基に、BIM/GISの活用をBIMが使われている全てのプロジェクトに導入することも計画しているという。「インフラ建設は、既存インフラなど周囲の影響を受けやすく、プロジェクトに変化が生じることがあります。その際に一部を手動で加工するのではなく、モデリング自体を自動化することが不可欠です。これが、建物の建設とインフラの建設の主な違いなのです」と氏は結論付けた。BIMとGISの統合で、公共設備の3Dデータやドローン画像の活用を最大化活用事例

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