プラットフォームCase Studies Vol.1922PROFILE道総研の皆さん組織名:北海道立総合研究機構住所: 〒060-0819 北海道札幌市北区北19条西11丁目 北海道総合研究プラザURL:https://www.hro.or.jp/index.html協力者・農業研究本部:牧野 司 氏、巽 和也 氏・水産研究本部:三坂 尚行 氏、有馬 大地 氏・森林研究本部:曳地 孝夫 氏、津田 高明 氏・産業技術環境研究本部:古川 陽揮 氏、 垣原 康之 氏・建築研究本部:岡村 篤 氏、阿部 佑平 氏、 川村 壮 氏・本部研究事業部:栗林 貴範 氏使用製品非営利研究機関向けArcGISサイトライセンス課題 ・研究者数に対するライセンス数の不足・研究の本質ではない調整業務や作業の発生導入効果・研究での利活用の拡大・データの可視化、分析作業の効率化・地理空間情報を活用する意識の醸成・ 非営利研究機関向けArcGISサイトライセンスにより全職員がGISを利用できる環境の整備・ 研究分野を問わず、データ整備と分析解析にも使える高度で汎用的なツールの活用北海道立総合研究機構(以下、道総研)は、道内に21の試験場等の研究組織を有する総合試験研究機関である。法人の運営を行う法人本部と研究を行う5つの研究本部で構成されている。北海道の重要な施策に関わる戦略研究を始めとしたさまざまな研究開発を推進している。GISを活用した研究は、道総研設立以前より、一部の試験場等でパイロット的に取り組まれていた。道総研設立を機に、GIS研究者らが集まり、研究会の組織内協力・連携の強化を図る中で課題として浮かび上がったことは、いずれの研究者もGISライセンスの確保や基盤的に使う地図情報の整備に苦労している点であった。このため、試験場等で契約していたGISライセンスをあらためて道総研として一括整理し、ArcGIS Desktop同時利用ライセンス、内部情報共有サーバー、外部情報公開サーバーを整備した。そして2015年度(平成27年度)より「道総研GISシステム」として、運用を開始した。さらに、さまざまな分野でのGIS活用の進展や、比較的容易に利用できるようGISの改良が進み、道総研内の利用者や潜在的な利用希望者が増え、後述するあらたな課題も生じてきた。このため、2019年度(令和元年度)からは「非営利研究機関向けArcGISサイトライセンス」を導入することとなった。導入後は分野を問わず多方面の研究にArcGISが活用されている。データの収集や可視化だけでなく、高度な分析や解析での利用が多いことも総合的な研究機関ならではの傾向である。また、GIS機能だけでなく「公開」までワンストップで実現可能な点もメリットと感じている。関係者間の情報共有はもちろんのこと、研究結果を社会に還元する手段としても活用していく意向である。組織内外で分野を越えて情報を共有し合うことで、新たなイノベーションが生まれることにも期待している。■概要■課題■ArcGIS採用の理由ArcGISを基盤としたGISプラットフォームの特長ArcGISを基盤としたGISプラットフォームの特長以前の「道総研GISシステム」では、1,000人近い職員数に対し少数のArcGIS Desktop同時利用ライセンスが配られているのみであった。操作に慣れていないため、ひとりひとりの利用時間が膨らみ、その結果利用できるライセンス枠が空きにくい状況であった。また、いざ必要な時に使用できないと研究の見通しが立たないため、GISを用いた研究手法の採用は難しいものとなっていた。さらに、データの可視化や分析に手間がかかる点も課題であった。たとえば、インターネットからダウンロードした衛星データを画像化するため、独自のプログラムを組まなければならない場面がある。研究者の本業は研究であり、研究の本筋から外れた調整業務や作業にリソースを割くべきではない。そうした問題意識が次第に大きくなっていった。「非営利研究機関向けArcGISサイトライセンス」を導入するにあたって特に考慮したことは以下の3点である。① 全職員がエクステンション製品も含めたライセンスを利用できること。② トレーニングや研修があり操作方法が学べること。③ サポート体制が整っており、必要な時に支援が受けられること。いずれも研究を最大限スムーズに行えることを重要視した。また、ArcGISの汎用性も決め手のひとつである。特定の分野に限らず広く利用できることが総合的な研究機関である道総研の特性に適していた。非営利研究機関向けArcGISサイトライセンスで全職員が研究へ利活用することが可能に北海道立総合研究機構
元のページ ../index.html#22