ArcGIS 事例集 Vol.21
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PROFILE38Case Studies Vol.21デジタルビジネスデザイン部データソリューショングループ主席スペシャリスト 山田 武史 氏組織名:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社住所:〒150-8488 東京都渋谷区恵比寿1-28-1使用製品ArcGIS Pro課題・膨大なテレマティクスデータの活用促進・地域の人口分布や地形などの地理データと導入効果・地域の交通事故削減に向けた交通政策への・災害復旧に向けたインフラ情報としての活用かけ合わせた解析活用あいおいニッセイ同和損保ホームページ「CSV x DX」より■概要■課題あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)は、日本において長年にわたり損害保険事業を展開してきた企業であり、近年ではデジタル・データ活用による新たな価値の提供に力を入れている。同社は、社会的課題の解決と地域社会との価値共創を目指す「CSV□DX(Creating Shared Value by Digital Transformation)」を掲げ、DXと社会課題の解決を同時に推進している。これにより、従来の損害保険の枠組みを超えた、事故の未然防止や迅速な対応が可能な保険サービスの提供に取り組んでいる。同社は2004年(平成16年)よりテレマティクス保険の開発と普及を進めており、保険業界においても先駆的な役割を果たしてきた。テレマティクス保険とは、車両の走行データ(時間、位置情報、速度、加速度など)を収集・分析し、保険の提供方法や事故防止対策に役立てる保険である。同社は国内外で約190万台分の走行データを蓄積し、膨大なビッグデータに基づいたリスク管理手法の高度化を実現している。そして、このテレマティクスデータをGISと組み合わせて活用することで、地域の交通安全や都市計画、さらには災害時の復旧支援まで多岐にわたる支援を行っている。損害保険の役割が「事故の後の補償」から「事故の予防と地域社会の安全・安心の提供」に変化していく中で、同社の取り組みは新たな損保ビジネスの一つのモデルケースとなっている。あいおいニッセイ同和損保が目指すのは、従来の「事故後の補償」から一歩進み、事故の未然防止と迅速な対応を通じて「安全・安心な社会」の実現に寄与する保険である。そのため、お客さま、地域社会とともにリスクを軽減し、地域ごとの課題に即した交通安全対策を提供することを掲げている。しかし、こうした「事故を起こさない保険」を実現するためには、テレマティクスデータの活用だけでは不十分である。事故防止のための対策を精緻化するには、走行データだけでなく、地形データや事故多発地点情報、警察や自治体が保有する交通事故データといった外部データも活用することが必要だ。これにより、地域ごとの道路状況や事故リスクの特性を詳細に把握し、緻密なリスク評価が可能となる。テレマティクスとGISで実現する安全・安心なまちづくりあいおいニッセイ同和損害保険株式会社

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