ArcGIS 事例集 Vol.20
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利賀ダム事業監理システム画面事業監理システムの活用例31はじめに、多岐に渡って管理されていた事業全体で必要となるデータをGIS上のモデルで紐付けるところから着手した。ダム設計の段階では、既に所有しているBIM/CIMモデルとArcGIS Proを活用し、GISに構造物3次元モデルを反映した。これに加え、各構造物に関連する設計・図面情報など、施工に必要な情報の一元管理を行った。また、施工段階においては施工時に観測する計器のデータを自動でクラウドに蓄積し、GISから一目で確認できるシステムを検討・構築中である。これらのデータ管理を効率化するGISシステムを、JACICルーム内の「ダム事業監理プラットフォーム」と呼ばれるポータルサイトからアクセスが可能な仕組みを構築した。この事業監理プラットフォームは、ダム事業監理をポータル画面を経由して行えることを目指したシステムである。このポータルサイトでは、前述したGISデータや3Dモデルに時間の概念を加え4D化した事業工程表、設計・施工などの各種データがクラウド上で管理され、アクセスが可能となっている。このポータルサイトをハブとしてプロジェクト全体の管理を容易にするだけでなく、関係者が必要な情報が1つの画面に集約されているため、スムーズな情報共有が可能となった。・ あらゆるデータの一元管理GISを基盤としたプラットフォームでデータを管理することで、構造物の位置情報とクラウド上で管理されている関連データが統合され、データを探す時間を短縮することができた。また、データの管理が紙からデジタルになったことで、インターネットへのアクセスだけで必要なデータを閲覧できるため、作業の効率化が図られ、職員の働き方も変わり、事業全体のDX化を進めることができた。・ 効率的な合意形成ArcGISはWeb上で機能するツールのため、BIM/CIMのように特別なソフトが不要で、通常スペックのPCであればどこでもGISを見せることが可能である。さらに、事業全体を可視化することが可能なためWeb上のGISを見せるだけで事業関係者以外にも事業の理解を深めることができる。・ 全体事業の進捗確認ArcGISの導入により、これまでCADソフトとPowerPointで作成していた年度ごとに色分けをした施工計画ステップを、容易に作成・確認することが可能になった。これにより、作業時間の削減だけでなく、さまざまなデータをレイヤーで重ねて表示させることで、これまで気付かなかった施工時の課題や検討事項など、新しい気づきを得ることができた。今年度は設計段階のGIS活用に取り組み、施工段階時の活用検討および試行も行った。しかし、ダム事業は調査・設計・施工の段階の後にある「維持管理」の段階が最も多くの時間を要するため、今後は「維持管理」を見据えたGISの活用方法を検討していきたい。そして、近年激甚化・頻発化する自然災害に対応するために注目が集まっている「ダム再生」事業を見据えたGISの在り方にも取り組んでいきたい。> 国土計画 > 河川管理活用事例■課題解決手法■効果■今後の展望紙から3Dデータへ建設プロセスのデータをGISで一元管理

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