ArcGIS 事例集 Vol.21
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Case Studies Vol.2127> 国土計画 > 建設サイクルタイム情報リアルタイム映像AIカメラ解析情報位置現況情報■効果■今後の展望する運搬サイクルタイムをチャート形式やタイムラインで表示する画面を構築した。ArcGIS導入前は、ダッシュボードの設計イメージを具体化することが難しかったものダッシュボードは、国土交通省から依頼が(1日あたりの施工量)13%増、作業工程20日短縮という成果を上げ、工事全体の1分ごとに更新され、マップ上の工事車両ることが可能となった。従来、工事車両が像をモニタリングする画面、AIによる映像解析結果などが確認できる。そして工事車両が施工現場から土置場エリアを行き来の、ArcGISが提供するテンプレートを活用することで、データの効果的な可視化や必要な情報の表現を容易に実現でき、目標としていたダッシュボードを迅速かつ効率的に実装することができた。株式会社丸本組と共同開発したこのAIあった令和元年東日本台風で被害を受けた吉田川の河道掘削工事で実際に運用された。この実証現場において、日施工量生産性向上に貢献した。今回、GIS機能を統合することで強化したAIダッシュボードでは、現場の映像とAIによる解析データが位置および運搬サイクル情報も同期されるため、ダッシュボード上で一元的に管理す密集するエリアでは、異なる工事車両の作業を重複してカウントしてしまったり、奥にいる工事車両の作業が認識されなかったりと、AIによる作業判定が困難であったものが、GISを活用することにより、映像データのみならず位置情報も同時に把握し、精度の高い作業判定が実現した。この結果、重機の作業見逃しが皆無となり、実証実験における有効な成果として認められた。さらに、高精度化されたAIによる映像解析の結果、重機の「停止時間」と「作業時間」を詳細に分析することが可能となり、これに基づく重機の繁忙度の把握と運搬計画立案に資するデータとして活用された。また、重機と蓄積されたダンプトラックの位置情報から相関距離をグラフ化し、積込み作業頻度の傾向を把握することで、現場の工事車両による渋滞や混雑状態、および適切な運搬工事車両台数の配備を検討することができた。この株式会社丸本組の実証実験の結果は、地元新聞および建設業界向けの専門誌でも取り上げられ、多くの反響を呼んだ。また、2024年(令和6年)6月には国土交通省が運用するNETIS(新技術情報提供システム)へ登録され、このダッシュボードについての問い合わせが増加している。将来的には、GISを組み合わせたAIダッシュボード上に、過去に解析したデータをレイヤーとしてマップに重ねる機能を追加し、過去の類似工事から工事計画シミュレーションを作成することや、現場の異常を検知した際に関係者に自動通知を送信する発信機能を搭載するなど、AIとGISのさらなる融合を目指している。「工事現場において、これまで現場監督が自身の目で判断し指示していた業務を、AIやデータ解析技術を駆使して一層効率化を図りたい」と当ダッシュボード開発担当者である鎌田氏は、建設業界のさらなるデジタルトランスフォーメーションに向けた強い意思を示している。建設現場の映像データの自動解析とGIS導入による生産性向上活用事例

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