ArcGIS 事例集 Vol.20
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教頭補佐 地歴部顧問 井上 貴司 氏/地歴部の皆様使用製品小中高教育における GIS 利用支援プログラムhttps://www.esrij.com/products/k-12-grant課題・市民のごみ問題に対する当事者意識の欠如・市民へ向けたごみ問題の周知・コロナ禍による屋外活動の制限導入効果・デジタルマップによるごみ問題解決の重要性の発信・市民と協働でのごみ調査が可能に・課題解決に貢献している実感につながり、 PROFILE組織名:山陽学園中学・高等学校住所: 〒703-8275 問合せ先:地歴部顧問 井上 貴司 氏電話番号:086-272-1181Email:inoue_t@sanyogakuen.ed.jp山陽学園中学・高等学校岡山県岡山市中区門田屋敷2-2-16活動意欲が向上日本学術会議でのポスター発表の様子海洋ごみの調査風景22岡山県にある山陽学園中学・高等学校の地歴部は、2008年(平成20年)より「瀬戸内海の海洋ごみ問題」について取り組んでいる。現在、中学生28名、高校生24名の計52名で活動しており、日々地域のごみの調査や分析を行っている。同部は、海岸に打ち上げられた漂着ごみや、漁船に乗って底びき網で引き上げられる海底ごみを確認し、実態を知ることで、生徒たち自身が感じる疑問を基に調査している。SDGsの達成に向けた取り組みが国内外で活発になるにつれ、「瀬戸内海の海洋ごみ問題」に向けた同部の取り組みはさらに加速し、毎年さまざまなコンクールに出場、賞を受賞している。海洋ごみ問題の解決に向けてより充実した調査を行うため、ESRIジャパンで提供している小中高教育におけるGIS利用支援プログラムの利用を開始した。屋外調査では、ArcGIS Survey123(以下、Survey123)を利用することで、アナログな調査業務をデジタルへ移行できた。それだけでなく、市民との協働も可能となり、ごみの課題解決に大きく寄与しているという実感は、生徒にとってやりがいとなり、さらに市民にとっても地域の課題解決に貢献している意識が芽生えたことで、同部の活動はさらに加速しているということを同部顧問の井上氏は感じている。 同部が活動する上で、以下の3つの課題があった。第一に、海洋ごみ問題は当事者意識を持ちにくく、関心のない人々にどのように伝え、どう働きかけるかが困難であることだ。特に、海から離れた山間部に住む市民の中には、山間部で出たごみが川に流れ出て海に放出されていることを想像している人は少ない。山間部の身近なごみが海洋汚染につながっていることを理解してもらうために、地図でごみの流れを分かりやすく明示する必要性があった。第二に、紙地図での作業は負荷が多い上、表現方法が限定されてしまうことだ。瀬戸内海の海域の紙地図にシールを貼ってごみの発見場所をアナログで管理していたが、紙地図上に海洋ごみが示せても川から流れ出たごみであるという証拠を示すことが難しかった。第三に、コロナ禍で外出制限がかかり、地歴部の活動のためのごみ調査実施がしづらくなったことである。 顧問の井上氏が他高校での研修会でSurvey123のグループワーク実習を受けたことが導入のきっかけとなった。スマホで地図付きの調査票の入力、集計、分析がSurvey123で完結するという利点を■概要■課題■ArcGIS採用の理由瀬戸内海の海洋ごみ問題解決に向けてArcGIS Survey123を活用山陽学園中学・高等学校

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