ArcGIS 事例集 Vol.20
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①捕獲報告データの可視化アプリ②捕獲報告アプリ②捕獲情報確認アプリ③自動無人撮影カメラ 連携アプリ④ドローン動画と地図の連携アプリ17イノPとESRIジャパンは、2019年より共同で鳥獣被害対策におけるGISの活用を模索していた。その中で、「クラウド型GIS」であるArcGIS Onlineは外部のシステムや多種多様なデータコンテンツと柔軟な連携が可能であり、県や市町村が持つ有害鳥獣の情報、イノPが取得するIoT機器の計測データ、ドローン撮影データなどを集約、共有する情報共有プラットフォームとして最適であった。最新のIoT機器を取り入れた多くの対策を行ってきたが、各機器から得られた情報がバラバラに管理されていたため、調査結果を集約した複合的な鳥獣被害対策に繋がっていないことが新たな課題として見えてきた。同社は異なるシステムで管理される異なる形式のデータをArcGIS Onlineで可視化するいくつかのアプリケーションを構築した。①捕獲報告データの可視化アプリ従来、猟師などの捕獲者から市町村の窓口に届け出される捕獲情報は、市町村および県ではExcelの文字情報として管理していた。そのデータに含まれる捕獲場所の位置情報である「5kmメッシュ番号」を用いて地図上に可視化した。これまで文字情報としてのメッシュ番号だけでは把握できなかった位置を直感的に地図上で可視化し、県全体での対策に活用できる環境を構築した。②捕獲報告および確認アプリ捕獲者は市町村の窓口へ届け出をする際に、捕獲した証明として鳥獣の写真などを提出する必要がある。市町村の職員は、その捕獲情報をデータとしてExcelなどに取りまとめる作業が負担となっていた。特に鳥獣被害が多い自治体では年間7,000件以上の報告がある。捕獲報告および情報確認アプリを利用することで、データの集計業務の軽減と、さらにリアルタイムで詳細な捕獲位置情報を集約でき、的確な鳥獣被害対策が可能になった。③自動無人撮影カメラ 連携アプリさらに、イノPが所有する、ハイク社の自動無人撮影カメラ「ハイクカム」で撮影された写真と地図を連動させたアプリを作成した。それぞれのクラウド環境とのWeb API連携により、異なるシステム間のデータ連携をローコードで実現できた。同様のIoT機器との連携ができれば、異なるシステムでも共通のプラットフォーム上で情報を確認することができ、シームレスな鳥獣対策が行えるようになる。④ドローン動画と地図の連携アプリ夜間に行動する鳥獣や、昼間でも目視が難しい鳥獣の個体群に対し、ドローンによる可視光および熱赤外線画像での動画撮影を行い、GIS上での可視化を試みた。今回はリアルタイムでの連携には至らなかったが、データを都度タイムリーに連携させることで、目視把握の難しい個体群管理にも役立たせる目的である。本プロジェクトでは特定地域での実証であったため、次には県全域など広範囲なフィールドでの検証を行っていきたい。ArcGISは、さまざまな外部サービスとの連携が可能なプラットフォームであることから、各専門分野のソリューション(画像生成AIサービス、ドローンデータ解析サービス、RPA等)との連携を進めていくことで、さらなる活用が見込まれる。今後は本DX実証事業で形にすることができた産学官民連携の鳥獣対策DXのモデルを、県内の他の市町村へと確実に拡げていきたいと考えている。> 安心・安全 > 野生生物活用事例■ArcGIS採用の理由■課題解決手法および効果■今後の展望データに基づく被害対策のPDCAサイクルを回し鳥獣被害による離農ゼロを目指す!

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