ArcGIS 事例集 Vol.21
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Case Studies Vol.2117GIS カードワークショップ後にGIS ソフトウェアを体験している風景GISカード> 人材育成 > 教育■効果■今後の展望(提案)に対し、採用/不採用を最終判断「自然環境」には「活断層図」や「洪水浸3段階に分かれる。ミッションは、帝国書院の『新地理総合』で紹介されている事例を参レイヤーの組み合わせが記載されており、 ・ ゲームの進行GISのレイヤー構造やその有用性を自然に都市」の3種類があり、それぞれの分野に応じたレイヤーカードを選ぶ。市民は、専門家が選んだレイヤーカードの組み合わせする決定権を持つ。レイヤーカード:全部で31種類あり、GISのレイヤー構造を模倣している。たとえば水想定」などが含まれる。レイヤーカードにはレア度が設定されており、特定の条件下で重要となるレイヤーほどレア度が高くなる。地域課題カード:解決すべきミッションが書かれており、難易度は初級、中級、上級の考に設定しており、GISを用いた地域課題の解決に適している。カードの裏面には正しい答え合わせができるようになっている。① 各チームはジョブカードを選び、専門家と市民の役割を決定する。② 専門家は自分の分野に応じたレイヤーカードを受け取り、地域課題カードに書かれたミッションを解決するために必要なレイヤーの組み合わせを考える。③ 組み合わせが決定したら「GIS!」と発声し、地域課題カードを裏返して答え合わせを行う。④ 正解の場合、レイヤーカードは回収され、地域課題カードはチームの得点となる。不正解の場合、レイヤーカードは手持ちに戻され、再度挑戦する。⑤ これを40分間繰り返し、最終的に得点の高いチームが優勝となる。このように、GISカードはゲームを通じて理解させるとともに、思考力や問題解決能力を養うことができる教材となっている。情報機器が整備されていない環境でもカードデータを紙に出力するだけで使用できるため、どんな学校でも導入が可能である。また、カードゲーム化することで授業に取り入れやすくなった。これにより、GIS教育のハードルが大幅に下がり、多くの生徒がGISに興味を持つきっかけとなった。2023年(令和5年)8月に富岡西高等学校でGISカードの実験ワークショップを行った。ワークショップの前後に実施したアンケート結果から、GISカードを通じてGISの基本概念や活用方法を生徒たちが具体的にイメージできるようになったことが判明した。たとえば、ゲーム前は「GISとは何か分からない」という回答が多かったのに対し、ゲーム後は「地理情報を詳しく地図にまとめたもの」や「地理的な条件に応じた課題解決に役立つもの」といった具体的な回答が増えた。また、実際のGISソフトウェアでの操作の前にカードゲームを行うことで、その後のPC操作がスムーズになり、GISソフトウェアの操作に対する抵抗感が減少したという声もあがった。GISカードの導入により生徒たちのGISに対する理解が向上し、GISの具体的な活用法について認識が深まった。今後はGISカードをさらに発展させ、より多くの教育現場で活用できるようにすることが目標だ。具体的には地域ごとの特性に合わせた多様なパターンの開発や、防災や環境保護など特定のテーマに特化したカードセットの作成を考えている。またGISカードを使った授業プログラムを基礎編、応用編、実践編の3段階に分けて整備し、段階的にGISの知識と技能を習得できるようにすることも目指している。GISカードを使って基本的な概念を学ぶ基礎編から、生徒自身が考えた地域課題を基に実際にGISソフトウェア上で主題図を作成するという応用編をイメージしている。これにより、生徒たちはGISの概念と実践をバランスよく学ぶことができる。さらに、GISカードは高校生だけでなく、大学や地域住民のワークショップ、企業の研修プログラムなど、教育現場以外での活用も視野に入れている。異なる年代や専門分野の人々が一緒に学び、ディスカッションを通じて理解を深めることができるため、GISの知識が広く普及し、地域社会全体の地理情報リテラシーの向上も期待している。情報機器不要!ゲーム感覚で学ぶGIS活用事例

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