ArcConnect No.1
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 この度、ArcGISユーザー会会長に就任した矢野桂司です。本会の発展にご尽力された福井弘道前会長の 御活動に深い敬意を表すとともに、会員の皆様とともに 本会のさらなる発展を目指していきたいと考えております。会員皆様のさらなるご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。 振り返ると、欧米でのGIS革命が起こったのは、1980年代後半と言われています。1969年にハーバード大学GSDの修士を修了した若干24歳のJack Dangermond氏が、奥様のLauraと共に故郷のカリフォルニア州レッド ランズに設立したGIS(地理情報システム)ソフトウェアの 会社が、Environmental Systems Research Institute(環境システム研究所:ESRI)です。当時の欧米では、1950年代後半に戦後の地理学で起こった計量革命が進んでおり、GISの台頭に繋がっていきました。 米国の多くの地理学部では、地誌学をベースとする伝統的な個性記述的(idiographic)な地理学から、論理実証主義に基づく法則定立的(nomothetic)な地理学へのパラダイムシフトが起こっていました。この変化には、大型計算機の学術利用の普及が大きな影響を与えました。多変量解析のような統計的手法や、エントロピーモデルやシミュレーションのような数理モデルが、地理行列で整理された地域データに適用されるようになったのです。同時に、GISの基礎となるコンピュータによる地図の自動描画も研究され始めました。その拠点は、シアトルのワシントン大学の地理学部と都市計画学部そして1964年にハーバード大学に、ハワード・T・フィッシャーを所長として設置されたコンピュータグラフィックスおよび空間分析研究所(Laboratory for Computer Graphics and Spatial 特別寄稿ArcGISユーザー会 会長立命館大学 矢野 桂司 教授

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