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事例

ジャイアントパンダの保護に関する協力   -著:メリッサ ソンガー博士

作成日 2007年11月30日

 
 

2005年7月、ワシントンDC国立動物園でジャイアントパンダ「泰山」が誕生したニュースは、多くのアメリカ人を喜ばせました。現在2歳になる「泰山」はアメリカで生まれた4頭目のジャイアントパンダで国立動物園で暮らしている明翔と田田の初めての子供です。「泰山」の誕生は、アメリカと中国の獣医や生殖研究者が協力し合い、長年に渡る努力を続けた結果です。

アメリカで、つがいのジャイアントパンダがいるのはアトランタ・サンディエゴ・メンフィス・国立動物園の4箇所で、10年前に中国からやってきました。ジャイアントパンダは世界で最も絶滅が危惧されている哺乳類の一種なので、絶滅に備えていくつかの「保護政策」に守られながら飼育されています。しかし、本当の意味でのジャイアントパンダの種の保存は、中国で持続的に人口を保持できる状態のことです。国立動物園では、ジャイアントパンダ保護のために中国での調査と出生力の向上に向けてたくさんの労力と資金を投じています。

泰山の両親は中国の四川省の臥龍自然保護区にあるジャイアントパンダ調査保護センターで生まれました。そこは、中国にある50の保護地域の一つで、野生のパンダとの間で交配が行われています。現在は、6つの山で、24の異なる集団に切り離されて生活しています。

2004年に中国国家が行った調査によると、 およそ1,600頭のパンダが、自然と調和して生き残っていることが分かっています。しかし、パンダは竹を主食としているため生息場所が非常に限られている上に、人間活動による気候変動で竹林が減少し、パンダの生息地も年々減少しています。

1974年の調査では、29,500平方キロメートル(11,390平方マイル)あったパンダの生息地が、2004年の調査では23,000平方キロメートル(8,800平方マイル)となり、ここ30年間でおそよ25%も減少しています。また、生息地のいくつかは落葉樹や針葉樹の中に点在しているわずかな竹林で、川の流域や山のすそのではパンダと農民が隣接して生活しています。これらの地域では、竹の子の収穫や土地の耕作など、竹林が他の用途で使用されるので、パンダが持続的に生活していくだけの竹の量が確保できません。よって、残っている生息地を保護することと、野生のパンダの頭数を調査することは非常に重要になってきています。

 

 技術が中国に渡る

2000年、 国立動物園に明翔と田田がやってきた時、彼らはとても重大な任務(ジャイアントパンダの長期的な調査と研究)を背負っていました。

国立動物園では、パンダの到着後すぐ、中国人スタッフと共にパンダ保護に関する支援と研究計画についてのワークショップを開催しました。その中で、ジオスペーシャルトレーニングに着目した「野生動物の管理と研究分析のプロジェクト」を立ち上げました。

動物園内の保護に関するGIS研究所では、「野生生物の管理者のためのGISとリモートセンシング」というトレーニングコースを中国人スタッフとともに受講することにしました。このコースはバージニア州フロントロイヤルにある野生生物の保護・調査センターで毎年開かれており、パンダの保護に関わるスタッフが、基礎を取得して、業務に関わるアプリケーションを作成できるようになっています。

教材は、地域のパンダ調査で得られたデータを使用しており、全てのトレーニング資料は、中国語に翻訳されています。また、アメリカ人と中国人のインストラクターがトレーニングコース中のコミュニケーションを助けてくれます。

過去5年間、私たちは保護に関わる仕事をしているスタッフや林学家にパンダ保護に関するこのコースを提供するために、中国を訪れました。このコースではまず、GPSを使用して地表面のデータを集め、ERDAS IMAGINEソフトウェア群(Leica Geosystems, Norcross,GA)を使ってイメージの閲覧・修正・結合などを行います。さらに、GISソフトウェアを使って、解析やデータの提示を行うなどの段階的な教育を提供しています。

2001年にコースを始めた時は、ほとんどの保護区では、GISを使うためのハードウェアがなく、国立動物園がコンピュータやGPSなどを提供し、1台のマシンの周りに数人の生徒を集めて授業を行っていました。しかし最近では、たくさんの生徒がノート型パソコンを持参するようになり、講習会の環境作りが非常に楽になりました。また、学生たちはトレーニングコースで学んだ内容を自分たちの仕事に活かしており、私たちにとっても非常に励みになっています。

今年のコースは、2006年夏、 臥龍自然保護区にある国立動物園の公式保護パートナーで開催されました。 私たちは、25名ほどの参加者を予想していましたが、 約40名のパンダ研究者がトレーニングを予約しており、 中国でのパンダ保護に関する関心が高まっていることを感じました。

 

 



 ジオスペーシャルトレーニング

トレーニングコースの中では、現実に即したケーススタディを作成し、生徒の理解を深めるように試みました。

このコースを受けたおよそ130人の卒業生は、
 ・空間データをどのように保存し、解析するのか?
 ・残された生息地のマップを作成したり、モニターするために衛星画像やGISをどのように使えば良いのか?
 ・空間解析に使用できるマネジメントツールとしてどのようなものがあるのか?
 ・野生生物に影響を与える保護地区をどのように変化させれば良いか?
などについての基本的な理解を深めることができています。

例えば、生息地の選択を評価するために、衛星画像から、興味のあるエリアを抽出する方法を学習し、データを抽出した後は、ERDAS IMAGINEを使用して、土地被覆分類を行う方法を学習します。これで、画像分類の基礎が身に付き、生息地分析のための次のステップに進むことができます。

パンダの生息地に関する分析には、四川省の臥龍自然保護区内にあるパンダの糞の位置をGPSで計測したデータを使用しています。そのデータの中には、標高・道路・河川などのレイヤも含まれデータベースを構築することができます。またこれを使って空間結合や属性情報、バッファリングやデータベース検索などから、パンダの生息地にとって最も重要な情報を取得し、その結果をマップにすることができます。

このトレーニングでは、GISやリモートセンシングのノウハウを仕事に役立ててもらうことと同時に中国人トレーナーの能力を向上させ、将来、自分たちだけでトレーニングコースを行うことを目的としています。また、より高度なトレーニングを望む人たちのために「土地被覆の変化と絶滅危惧種の保護」コースについての中国語マニュアルも作成しました。

 共に働く

私たちは、このトレーニングが指定保護区の調査結果を共有するための一助となることを望んでいます。また、科学と熟練された人材の両方を関連付けることで、大きな努力と情報交換を期待でき、パンダ保護に関する理解を深めることができると考えています。

ジオスペーシャルアプローチは、絶滅危惧種の生活水準を調査・研究するプログラムの根底となると考えています。また、ジャイアントパンダの生息地は、ターキンやゴールドモンキー、レッドパンダなどとシェアしているので、新しいデータレイヤを導入し、同じ解析手法を使ってデータを解析することができます。

泰山の誕生は、中国の保護に関わる人たちと、国立動物園の両者の共同作業によって達成されました。そして、パンダの子供たちが十分に育ったら中国に返還されることになっています。この保護生殖プログラムの大成功を受けて、中国では、保護されたパンダを野生に返し、持続的な人口の向上を望んでいます。

泰山は一匹の小さなパンダですが、私たちが、どのように行動すればよいかを示してくれる未来のシンボルです。私たちは、コミュニケーションメディアとして、ジオスペーシャルプログラムを使うことでジャイアントパンダへの理解を深め、救うことができると信じています。

 

 

関連リンク

・ニュースの原文:「Conservationists Collaborate to Save Giiant pandas」

 

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