GISで自然環境解析する人から最近聞く話が「入手できるデータが充実してきた。」という事だ。いつの間にか知らないデータが公開されていたり、更新されていたり、データのバグ修正がされていたりする。地理空間情報活用推進基本法が今年は施行されて、国のGISデータは原則無償ネット公開となったことも理由だろう。今回は自然環境分野で使えそうなGISデータをご紹介したい。
●第2〜5回植生調査重ね合わせ植生 (環境省 生物多様性センター)
植生データは植物群落のまとまりを表したもので、環境アセスメントや環境保全計画などに活用可能である。縮尺5万分の1で全国をカバーしており、上記の名称のものが最新時期(平成5〜10年)のデータである。「重ね合わせ植生」という名前は、第3回調査で日本で初めて全国植生をGIS化し、その後は改変部分だけデータ作成していたため。自然環境情報GISダウンロードのページから誰でも無償で入手できる。植生は変化するため、最新の植生を把握するためには定期的に更新する必要がある。そのため第6回以降の調査結果の公開準備も進行中だ。
●国土変遷アーカイブ (国土交通省 国土地理院)
GISデータになっていないが以下の空中写真データが無償でダウンロードできる。(2007年12月17日現在)
1946年1月〜1957年12月撮影:約134,000枚
1961年1月〜1974年12月撮影:約153,000枚
1992年1月〜2001年12月撮影:約36,000枚
2003年1月〜2006年12月撮影:約31,000枚
最初の撮影時期のセットは占領直後に米軍が撮影したもの。映画Always続・三丁目の夕日が公開されて人気のようだが、自分の家があった場所の60年前の写真を見ながら、どのような風景でどんな暮らしがだったのかなどと思ってしまった。正月にプリントアウトして親に見せようと思う。
● GISMAP Terrain (北海道地図株式会社)
全国をカバーしている標高データ(DEM)で、高さ精度が良好で最も高空間分解能である。国土地理院発行の2万5千分の1地形図の10m間隔等高線から作成している。DEMをこのようなソフトで処理することでと日射量や傾斜や尾根線や土壌水分などが計算できるため、植物や動物との関係をモデル化・シミュレーションする際に必要となる。有償なので、できれば国から無償版が公開されないものかと個人的には思っている。
●数値地図25000(空間データ基盤) (国土交通省 国土地理院)
2万5千分1地形図に相当する精度を持つ、道路中心線、鉄道中心線、河川中心線、水涯線、海岸線、行政界、基準点、地名、公共施設、標高の10項目のデータである。CD-ROMで販売しているものと同じデータが無償でダウンロードできる。背景地図としても使えるが、鉄道・道路・河川は生態系ネットワーク解析をする際には必要なデータだ。標高も50mメッシュだが含まれている。サイトには閲覧を目的に公開すると書かれているが、以下の手順を踏めばシェープファイルに変換できる。再配布には許可が必要。ダウンロードした数値地図のデータをここでダウンロードした数値地図25000ビューワの中にあるDecodeフォルダ内のDecode.EXEを使い、XML形式に変換する。このときデフォルトでは出力ファイルの文字コードセットが「Unicode」に設定されているので、必ず「シフトJIS」を選択する。次にArcGIS9.1以降に装備されている「国内データ変換ツール」で「数値地図データ変換ツール」→「数値地図25000(空間データ基盤)」と順に選んでいくと変換元のデータの場所を聞いてくるので、先ほどのXMLファイルがあるフォルダを指定する。詳しくはヘルプファイルの「第8章 数値地図25000(空間データ基盤)の変換」を参照のこと。
当たり前かもしれないがこれらのデータは以前は公開されていなかった。データがあることで初めて可能になることがあるわけなので、データ公開状況を掴んでおくことはGISユーザにとって極めて大切と思う。ESRIジャパンのニュース欄ではGISデータの公開情報をできるだけ掴んでお知らせしているので、時々チェックすることをお奨めしたい。第1回目から担当させていただいたコラムは今回で一旦おしまいとなります。これまでありがとうございました。最後に一言。
GIS、データなければただのGIS。
でもデータと人がいればやっぱりすごいよGIS。(K.M.)
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