ジャック デンジャモンド(Jack Dangermond)氏はESRIの創業者であり社長であり、今日のGIS技術を作り出した一人として知られている。彼のビジョンは、地理情報技術全般に多大な影響をもたらしてきた。
今回はインターネットで知ることができる彼の言葉のいくつかを紹介したい。
(あなたのGISのビジョンは実現したのかと聞かれて)
GISはまだ進化の初期の段階であって、GIS技術を応用する意味を世の中は理解し始めたばかりだ。これから長い時間をかけて、普遍的で重要な技術に進化していくのだろう。GISの本質は全ての情報を相互に繋ぎ合わせる手段として場所、位置を使ってみるということにある。結局それは細分化してしまった知識と社会を橋渡ししていくということだ。(1)
(我々の「地理的な」認識が近年特に高まったが、その原因となる大きな変化がもしあればなにかと聞かれて)
2つの大きな変化があったと思う。1つは、人間は地球をより一層コントロールする方向に向かっていること。もう1つは人口増によって天然資源の需要と消費が逼迫していることだ。そのため世界をシステムとして捉え、これを説明し、理解する必要性は一層高まっている。デジタル情報技術を用いることで、いつでも誰でもどこででも地球の状態を把握できるようする試みは始まったばかりだ。GISはこうしたデータにアクセスし、これを管理し、操作し、そして意志決定することを支援できる。もしそうなれば人々はより一層、空間的に物事を理解するようになるだろう。(2)
(あなたの公私の転機は何だったのかを聞かれて)
1つの大きな転機は1982年にArcInfoを発表したことだ。それまでは社内用ツールを使ってGISプロジェクトを行うことが本業だった。ArcInfoにはそれまでのGISプロジェクトでの経験をすべて取り入れたのだ。これは他の組織が我々のプロジェクトの成果を活用することに役立てることができた。これがきっかけで(我々のビジネスが)大きく変わった。大抵の会社はできないこうしたことが運良くできた。(1)
(ESRIが最初のGISソフトを出した感想を聞かれて)
これは良いことだった、おそらくは。だがそれよりも大事なことは、ユーザがGISでどのような事が可能になったのかだ。例えばより生産的になったか、業務を改善したか、そして現状を打破できたのかだ。(1)
(GISがビジネスにおいて果たす役割は何か、そして政府はビジネスでのGIS活用を支援すべきかを聞かれて)
ビジネスへのGIS導入がうまくいかないケースは確かにいろいろあるが、Sears(訳注:アメリカの総合スーパー)はサプライチェーンにGISを導入することで年間2700万ドル(約31億円)削減した。これは輸送費を16%削減したことによる。つまり大気汚染を16%削減したことになるし、燃料費を16%削減したことでもある。(そうした観点で考えれば)政府がビジネスでのGIS利用促進を支援することは政府にとっても良いことと言えるだろう。(3)
(多くの国の政府が独自にGISソフトを作ろうとしていることについて聞かれて)
GISの費用の60%がデータ、20%がハードウェア、5%がソフト、10%がアプリケーション開発費だ。実際には技術者や組織の状況で比率は変わるだろうが。これまでに多くの国でGISの開発がうまくいっていない。その理由はおそらくこのインドのように(訳注:インドのGISについてのコメントを求められたインタビューなので)GIS開発よりデータ整備に多く投資をしなければならないからだろうと私は考えている。(3)
このようにJackは様々な機会を通じて自身のGISについて考えを発言している。
それらはESRIのGISソフトについての考え(今回のコラムではあまり取り上げなかったが)と同時に、GISを活用することで、環境問題やビジネスのあり方がどのように変革できるかといったことを語っている。発言の時期によって彼の考えがどのように変化してきたのかを調べてもおもしろいと思った。
当然ながら英語でインタビューが掲載されているので私たち日本人はなかなか目にしにくいが、彼の話すことをGISに関わる一人として今後も時折考えてみたい。
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