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最近、環境問題を扱った映画「不都合な真実」が環境問題に関心のある人の間で話題になっているが、これに触発される形で今回は日本の植生GISデータにまつわる状況について、不都合な観点でコラムを書いてみた。 植生図は植物の集団を面的まとまりとして捉え、広がりをあらわした地図である(植生図の例)。自然環境を把握するための基礎的かつ主要な基盤データである。植生GISデータは例えば地球温暖化予測、自然保護計画、水害や火災などの防災対策、感染症対策などの意志決定に用いられる。 どこでどのような環境施策を実行することが適切なのか、といった問いに対しては、地図のような具体的な形式で答えることが必要と指摘する専門家もいる。(例えばここ)。 これらの問いに、限られた期間と予算と情報の中で答えていくためには、限られた「点」的な情報を「面」に展開する技術が必要だ。植生GISデータは「点」を「面」に変換するための基となるデータであり、展開ツールとしてのGISや展開予測モデルと共に、その重要さは増す一方である。 ところで、植生図は定期的な更新が必要である。なぜなら自然は時の経過と共に変化するからである。もしも更新しなければ、意志決定自体に誤りが起こりうる恐れがある。植生図にまつわる不都合な真実とは日本の植生GISデータの更新は順調とは言いにくい状況のことである。 植生GISデータを国が更新する根拠法である自然環境保全法で第4条ではおおむね5年に1度更新に努めるとされている。残念なことに現在作成中の縮尺2万5千分の1の植生GISデータは今のペースで日本全体の図化が完了するためには単純計算であと約18年かかることになる。(環境省.植生図整備状況より計算) こうした原因を、あえて一言で言えば、データの必要性について国民および政府内のコンセンサスが十分でないことにある。それに比べれば、植生図化の予算が少ないため1年で作ることができる図葉数が限られてしまうこと、植生図化が大学で教育がほとんどなされていないため図化できる技術者の数が少ないこと、植生GISデータを低コスト・高品質・短期間で作るノウハウがまだ不足していること、などは原因ではなくむしろ結果であろう。むしろこうした状況下で関係各位の努力で更新が辛うじてなされていることの方が驚きである。更新が遅れることで生じる経済的な損失が気になる。 余談だが、世界的に見ると、政府として全国カバーする植生図を完成させた国として日本は比較的早く、昭和48年(1973年)には環境庁が調査を開始している。今は更新が遅れ気味の植生GISデータも、当時は世界的にも早い段階で国土の基盤データとして整備がされたのだ。当時の関係者の先見の明には敬服するばかりだ。 明るい未来がないわけではない。宇宙開発事業団JAXAが打ち上げた人工衛星ALOS(だいち)のデータを活かした植生データ作成への活用が予定されているようだ(これやこれにある)。ただただ今後に期待したい。 ちなみに冒頭の映画のエンディングも明るい未来を予感するハッピーエンドになっていた。同じく期待したい。 |
| (コラムを書くにあたって参考にした情報源)
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