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コラム 環境分野GISの2007年問題

数値地図25000(土地条件)のArcGIS Desktopでの表示例役所の年末は3月だが今年はこの時期に政府・自治体関係のGISデータが多数公開された。デジタルな世界も現実世界と同じで年末はあわただしい。

環境分野GISユーザとしてはうれしいことに環境分野で使い甲斐のあるGISデータの公開があった。

国土地理院が公開した数値地図25000(土地条件)は土地の高低、地形分類などを図化したもので、自然災害が起こりやすい場所や、生物を保全するべき場所の地図化などの際に非常に有用なデータだ。同データは数値地図データ変換ツールまたはArcGIS Desktop 9.1 日本語サプリメント パッチのいずれかでESRIシェープファイル形式に変換ができる。(右図はArcGIS Desktopでの表示例)

ユーザーの立場としてはこのような環境分野で有用なGISデータが今後も引き続き提供されることを期待したいところだ。しかし環境分野のGISデータにも2007年問題が忍び寄っており、今後はデータ公開のボトルネックとなる恐れがある。

先日たまたま土地条件図のGISデータ作成に少し関わらせていただく機会があった。土地条件図は現地調査結果と空中写真を基に地質学、地理学など地形形成に関する知識と豊富な作図経験をお持ちの熟練技術者の手により作られる。GISのデータ構造を理解しておられないこれらの方々が作成される手書き図面を正しくGISデータ化することも、悩みではあったのだが、それより深刻だったのがこうした技術者の方々のほとんどが退職間際なのだ。

かつてこのような「地形が読める」作図技術者は国土地理院に在籍して作成していた。最近は民間会社がそれらの技術者を抱えて作成している。しかし土地条件図作成の仕事は常にあるわけではないので社内で後進育成はほとんどなされず、高齢化・外注化が進む一方だそうである。

2007年問題とはいわゆる団塊の世代が退職時期を一度に迎えるため、発生が予想される問題の総称のことで、社会活動への悪影響が懸念されている。とりわけ職人的作業や機械化が困難な作業の多い分野での影響が大きいと言われている。今、話題のWeb2.0や地理情報標準などは既存のGISデータの流通を促すためには大変効果的な道具だが、発信するデータがなければこれらの技術を活かすことができない。データ公開とは、公開手段の確保と同時にデータ作成の仕組みを担保することも含まれると私は考えたい。

最近はとりわけ行政のGISデータ公開がにぎやかだからこそ、公共インフラとしての環境GISデータ作成技術をどのように継承をするか真剣に考える時期に来ていると思う。環境GISデータの2007年問題が顕在化して、必要なGISデータがないため自然災害の発生や生物の減少が起らないよう願う次第だ。

関連リンク

国土地理院 土地条件図について

数値地図データ変換ツール

ArcGIS Desktop 9.1 日本語サプリメント パッチ

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