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電力・エネルギー大全 (再生可能エネルギー編)

 

現代のライフスタイルに不可欠な電力。複雑な電力の生成と伝達経路の全貌を地図で明らかにします。

 

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解説

本マップは ArcGIS Online の「ストーリー マップ カスケード」というテンプレートを使用して作成しています。

 

7. 再生可能エネルギー:水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス

再生可能エネルギーは、米国の電力需要の上昇に対する最善の長期的解決策になるかもしれません。その他の発電所の燃料とは異なり、再生可能エネルギーは自然に補充され、(規模は異なるものの)無限の電力を供給し続けることができます。発電所の種類は、さまざまで水力発電用のダムや、広大な風力発電、太陽光発電、ごみを燃やす際のエネルギーを電力に変える廃棄物エネルギー発電所などがあります。これらの発電施設の多くは「分散型」発電所と言われ、電力を消費する場所に隣接して設置されるため、複雑なインフラ、伝送にかかるコストを削減することができます。持続可能なエネルギーの推進は21世紀において大きな勢いを見せていますが、新しい概念というわけではありません。何百年もの間再生可能発電所は存在しており、何十年も稼働していました。事実、米国最古の発電所は水力発電所で、20世紀半ばのインフラブーム期に多く建設されました。しかし近年、再生可能エネルギー市場は急速に進化しています。過去10年間で、風力発電は主要な発電源としての可能性を実証しており、今日、風力発電は米国で再生可能エネルギーの3分の1を占めています。

 

 

 
 

 

それでは、「再生可能な電力は本当に多くの人が信じる万能薬なのでしょうか?」答えは、「Unlikely.(そういうわけでもありません)」多くの再生可能エネルギーの電力源は季節、天候などの自然の気まぐれに大きく影響され、さらにわずかな気候変動がこれらの発電量に劇的な影響を与える可能性があります。また、施設の立地は地理的要因で決定づけられます。例えば、水力発電のダムは流域の近くに建設されなければ意味がありませんし、太陽光発電所は遮られない日照が必要です。電力を貯蔵することは、今のところ高価でなおかつ非効率的であるため、どうしてもこれらの再生可能エネルギー発電所のみに何百万人もの消費者が頼ることはできないのが現状です。

最後に、再生可能エネルギー発電所は、生態系に深刻な影響を与えることがあります。その代表例が、水力発電のダムです。ダムの構造は、河川の上流をせき止め、人工的に貯水池を作るためせき止められる土地にあった生物多様性はダムの底に沈むことになります。川に生息する魚たちは、ダムを境に上流と下流を自由に泳ぐことができなくなります。近年では、だんだんとこれらの現実が明るみに出ている他、おそらく生態系に依存している無数のコミュニティにとってダムは、彼らの生き方を変える脅威になり得ます。

 

しかし、持続可能な電力生産を推し進める動きが最終的には米国にとってプラスに働くことは間違いありません。全国規模で新しい技術開発をし、それらを実装することは安価ではありませんが、再生可能エネルギーのもたらす利点は多大です。クリーンで、容易に入手ができ、無限なエネルギーと言ってよいでしょう。現在の再生可能エネルギーを巡るトレンドが予想どおり継続するとすれば、再生可能エネルギーが米国および世界全体のエネルギー源として取って代わられることはほぼ時間の問題です。実際、この転換点は、予想よりも早く訪れる可能性があります。世界のエネルギー科学者の連合は、風、水、太陽エネルギーが2030年までには世界のエネルギーの99%を供給できると予測しています。

水力発電所と主要河川

水力発電所は米国内の再生可能電力の約半分を供給しています。 ワシントン州中部のコロンビアリバーにあるグランドクーレーダムは、米国で最も強力な水力発電施設です。夏期には、7,079メガワットという驚異的な量の電力を発電します。1933年に建設されました。 このダムは世界最大のコンクリート構造物の1つで、建築するにあたりしようされた建築材の量は約917万平方メートル、これはシアトルからマイアミまでの高速道路を塗装するのに十分な量にあたります。

 

 

 

 

 

 

風力発電と風力発電に適した地域

風力発電所は、米国内で再生可能電力供給の第2位です。最初の風力タービンは19世紀後半に、その数世紀前に設計された風車の進化版として開発されました。1980年代に入ると、風力エネルギーは米国で実用的なエネルギーソリューションであることが証明されました。それ以来、風力発電の数は飛躍的に増加しています。

 

 

 

風力発電所の設置は、その場所の状況により制限がありますが、風力発電機自体はほとんど表面積を持たないため、この土地は同時に農業や放牧などの他の目的に使用することができます。

 

 

 

太陽光発電所と太陽光発電に適した地域

太陽光発電は、太陽光を介して、あるいは太陽光線を熱に集中させるためのミラーとレンズを通して、太陽光を使い水を温めその蒸気でタービンを回します。 太陽光発電は太陽光に依存するため、ほとんどが米国南西部に位置しています。しかし、他の地域でも適地はあり、現在では多くの州が太陽光発電に対して経済的インセンティブを提供しています。 この地図は、商用発電所だけを表示していますが、このほか何千もの民間ソーラー施設も存在します。あなたのいる建物の屋根にもソーラーパネルがあるかもしれません。

 

 

 

光電池(PV)システムは、より小型かつモジュール式、安価で設置が容易であるため、集中型太陽光発電(CSP)システムよりもはるかに一般的です。ソーラーパネルは、一般住宅用としても市場に出回るようになりました。下の写真にあるカリフォルニア州モハーベ砂漠にある太陽光発電(PV)施設は170万台のソーラーパネルを使用し、最大579メガワットを発電する世界最大の太陽光発電所です。

 

 

 

バイオマス発電 木材チップやゴミを焼却する際に発生するエネルギーを電力に変えるバイオマス発電も再生可能エネルギーに貢献しています。

 

 

 

地熱発電所と地熱発電に適した地域

地熱発電の素晴らしさは、自然界に存在する地中深くの蒸気と熱を電気に変換し、毎年約17,000ギガワットを発電しています。この地図が示すように、地熱発電の適地の多くは未開発の状態です。

 

 

 

再生可能エネルギー発電所

今日、再生可能エネルギーの供給量は全米の消費電力15%以下です。しかし、経済・環境的要因によって電気生産の構図が変化し続けるにつれて、再生可能エネルギーが化石燃料を追い越すのはもはや時間の問題です。

 

 

 

8. 電力網の再構成:アメリカにおける電力の未来

米国の電力網は、驚くべきものです。この連邦電気通信網は、連邦州の州都間のシステムとよく似ており、アメリカの近代的文化、そして生活様式の多くの側面を支えています。電力網が無い世界を想像することすら難しいことです。したがって、この電力網を支配する政治的および経済的力に対して、疑問を抱く人はそれほどいません。幸いにも、電力網は全体的な運用効率、信頼性、環境への配慮、そして利用者が手頃な価格でサービスを享受できるように一連のアップデートを掛けています。この変化は、発電から配電、消費までの電力網におけるすべての側面に影響を及ぼします。ここでは、システム近代化に導く、最も重要なアップデートを幾つか紹介します。

多様化するエネルギー・ポートフォリオ

1つは、米国内のエネルギー・ポートフォリオを多様化させることで、経済的・環境的変化に対してより強い体制を築くことができます。すでに米国全州の半数以上が、電力供給量の一定割合を再生可能エネルギーにしなくてはならないという再生可能エネルギー政策基準を掲げています。しかし、連邦レベルの法律化となると、まだ動きは議会で停滞しています。このような再生可能エネルギー基準を政府で実施することが米国にとって最大の利益になります。

 

 

 

「スマートな」マイクログリット(小規模発電網)

もう一つの大きな進歩は、小規模発電網の開発です。これは再生可能エネルギー源の小規模な発電施設を作り、それらを連結させることで、電力需要を地域内で賄おうという「マイクログリット・電気サービスエリア」構想に基づくものです。発電から消費までの距離を制限することで、発電に対する信頼性を高め、コストを削減できます。また、これらには洗練されたコンピューター監視支援システムがあり、ソーラーパネル、風力タービンなどのような個々に小さく分散した電源を電力網に接続するのに役立ちます。 既に、数百の小規模発電網は米国で稼働しています。例えば、ニューヨーク大学の小規模発電網は2012年、ハリケーン・サンディが市内の主要電力網に大きな被害を与えた時、大学キャンパス内に電力を供給し続けることができました。

インフラの統合

この小規模発電網は、全米で実現可能な解決策ではありません。幸いにも、3つの主要な相互接続間にある法的およびインフラの障壁を解体しようという動きはあります。ニューメキシコ州では、東部、西部、およびテキサスの相互接続を可能にする米国発、3社間の電力インターチェンジが建設されています。「Tres Amigas (スペイン語で「3人の女友達」という意味)」と名付けられたこのインターチェンジ・ステーションは10年近く完成が延期されていますが、完成すれば国境を超えて電気料金が下がり、過剰な設備を減らすことにつながります。

より強固なインフラ

今後、気象変動が進行すると、深刻な気象現象が原因の停電がますます増えることが予想されます。自動監視の技術がどれだけ進歩しても、それは巨大ハリケーンが細い電線や電柱をなぎ倒したり、洪水によって低地にある発電所が水没することを防ぐことはできません。しかし、このような極端な気象現象に対して、物理的インフラを強化することで回復不可能な被害の可能性を減らすことはできます。送電線に隣接する樹木を定期的に剪定するなど簡単な対策でも極端な気象から電力インフラを守ることにつながります。このアップデートはコストがかかるかもしれませんが、停電の頻度を減らすことができます。 これらすべての措置が、将来さらに増加する米国の電力需要を満たすことになるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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掲載日

  • 2016年12月28日