先月は、「日本地理学会」「すごい地理教育」「アメリカ地理学会(以下AAG)」など多くのGIS関連のイベントに参加することができました。特に、3月下旬に米国サンフランシスコで開催されたAAGでは地理教育、GISの技術など新たな情報を得ることができました。もちろん、ゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフ、ヨセミテ国立公園などの現地調査もしてきました。
今回は、「すごい地理教育」と「AAG参加報告」を皆様にお伝えします。
地理総合の必修化に向けて、「新しい地理教育」のためのイベントを3~4ヵ月に1回開催しており、前回は東京表参道を舞台にフィールドワークをテーマに開催しました。
3月25日に、地理必修化に向けて「すごい地理教育」を開催しました。第2回となる今回は、前半は東京表参道を舞台にフィールドワーク。後半は、高校の先生方が楽しく授業を展開できる教材づくりのワークショップを行いました。「地理は楽しい/面白い」といった工夫をしました。
「表参道」と聞くと関東近辺にお住まいの方は、原宿や青山一丁目あたりを想像する方が多いと思います。ファッションの街、明治神宮の近くといったイメージでしょうか?
現在では想像し難いですが、江戸後期から明治初期の青山周辺は茶畑が存在していました!また、渋谷川を主流に水車や農業を中心とした人々の生活がありました。そこで、二班に分かれ①古地図を使って今でも茶畑が残る部分はあるのか?②地下に潜ってしまった渋谷川の流域を歩いて回る、といったフィールド調査を行いました。
古地図、もしくは地理院タイルの航空写真をスマートフォンで読み取り、青山周辺を歩いてみました。おしゃれなカフェはたくさん見かけるのですが、やはり茶畑らしきものは一つも発見できませんでした。。。
また、今回「表参道」をテーマにしたのは、会場から近いのはもちろんですが、神社には必ず「参道」があることから、参加された方に自分たちの住む場所でも「参道」を意識してもらえるようにテーマを選びました。
まず、デイリーポータルZの三土(みつち)様と西村様にご発表頂きました。片苦しい基調講演のイメージは全くなく、「地図をおしゃれに描くとどうなるか?」、「石川県の形を栓抜きにした場合、使えるのか?」、「地図で遊んでみたらどうなるか」など、終始笑いが絶えないご講演でした。
ご興味がある方は、こちらにて検索していただくと面白い地図ネタが潜んでいます。
その後、3つのグループに分かれ教材を作成しました。
ガリバーマップ(大型地図)を用意し、フィールドで歩いた場所をグループで確認しながら発見した事などを付箋紙に記載し、マップに貼っていきました。
ちょうどイベント当日は北海道新幹線が開通する前日だったので、ArcGIS Onlineを使って、「北陸新幹線の残りのパートを作るにはどこがいいか?」などの教材をグループごとに時間制限と闘いながら作成しました。
教材作りでは、アナログ、デジタル、両方を駆使して、参加頂いた方に「楽しく」授業を展開できる教材づくりのワークショップが出来たのではと思います。
次回は、「歴史」をテーマに開催する予定です。
開催時期が決定しましたらお知らせしますので、それまでお楽しみに!
3月29日から4月2日までサンフランシスコで開催されたAAGの参加報告です。
アメリカ地理学会(The American Association of Geography(以下AAG))は、1904年に設立された100年以上の歴史のある学会です。会員は、地理学者や大学の教員、小中高等学校の教員、学生はもちろん国や自治体の職員、会社員など職業の幅は広い会員層となっています。
今年は3月29日から4月1日まで、サンフランシスコで開催され、世界中から約7,000名以上が参加しました。
AAGに今回、初めて参加してきましたが、スケールの大きさにビックリ、幅広いセッションにビックリ、アメリカだけではなく、私を含め海外からの参加者が多いことにビックリの1週間でした。
約5000以上のプレゼンテーションやポスター発表があり、内容は地図製作、アジアやヨーロッパ、アフリカなど各地域の文化、経済、歴史、政治、環境、気象など様々あり、朝8時から19時までびっしりのスケジュールで組まれており、どれに参加するか毎朝悩んでいました。
あまりにも多くのセッションでしたので、印象に残ったセッションを一つご紹介したいと思います。
“Bringing GeoCapabilities to geography in Higher Education”地理的能力や空間的思考の捉え方を学ぶワークショップ形式のセッションでした。
地理教育無しでは、学生は「環境問題や時事問題、自分たちの置かれた状況を理解することはできない。自分の世界を超えて物事を見る機会を失う」と唄っています。
GeoCapabilitiesは、以下4つを基礎としています。
①Capabilities(能力)
②Powerful Discretionary Knowledge (強力な裁量知識)
③Curriculum Making (カリキュラム作成)
④Leadership (リーダーシップ)
特に印象的だったのが、「リーダーシップ」と「マネージメント」の違いで、カリキュラムを作成する上でどのような違いがあるのかを、ディスカッション形式で話し合いました。私自身、学校教育で普段教える立場にいないので理解できない部分もありましたが、普段意識しないことを学ぶことができました。
詳細の資料は下記をご覧ください
Human Development & Capability Association
GeoCapabilities Teachers as curriculum leaders
最後に…
AAGで発表をしても、しなくても参加費は同額なので、せっかくなら「発表してみよう」と思い、3年程前から取り組んできた「主題図作成方法について」発表をしてきました。実は学会での口頭発表は、初めてだったりします。
とても緊張しましたが、アメリカと日本のGIS教育に関して意見交換が出来たのと、地理教育に関してAAGがどのような取り組みをしているか色々な情報を得ることができました。
今回仕入れてきた情報を様々な形にブラッシュアップし、皆様にお伝えできればと考えております。
期間中は、数十年前に流行したテレビコマーシャルの歌(サンフランシスコのチャイナタウン・飲茶)が頭から離れなかったのですが活気のあるチャイナタウンは歩いただけで、飲茶を食べていないことに気づきました。
来年は、4月5日~9日の期間ボストンにて開催されます。ボストンは、アメリカでもっとも古い街の一つです。チャンスがあれば行ってみたいものです。
サンフランシスコは、急勾配の坂が多くて有名です。今回は自転車に乗ってダウンタウン内の坂を自転車で登り切れるか、実験をしてみました!
ユーザの皆様の日頃のGIS活用や研究成果をご紹介するポスター展示を、第12回GISコミュニティフォーラム会期中に開催します。多くの方のお申込みをお待ちしております。
ポスターサイズ:A1(縦または横)、A0(縦)、B1(縦)
参加申込締切: 2016年5月18日(水)
詳細はこちら
今年も5月26日(木)、27日(金)と東京ミッドタウンで開催します。25日(水)は、Esri製品の最新情報や技術情報をお伝えするプレフォーラム・セミナーになります。
教育GISセッションは、「地域情報」に特化したセッションを企画中です。「地域x人材」をキーワードに地域コミニティ、地域らしさを発信するために、GISをどのように利活用するか紹介する予定です。
今年も皆様のご参加をお待ちしております!!
詳細はこちら
*――――――――――――――――――――――――――――――――*ご不明な点がございましたら下記までご連絡ください。
お手数ですが件名に「サンフランシスコのチャイナタウン・飲茶♪」とご記載ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
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