日本でも台風の被害が多い8月~10月。今回はとても他人事とは思えない災害の記録を紹介します。
ハリケーン・カトリーナ(以下略:カトリーナ)はアメリカ史上最も被害の大きかったハリケーンのうちの一つで、2005年の8月末にフロリダ州に上陸し、その後一度メキシコ湾に抜け勢力を増して北上し、ルイジアナ州ニューオーリンズに再上陸しました。
カトリーナによって甚大な被害を受けた約100万人のルイジアナ州の住民が他州へ避難を余儀なくされました。そのうちの27万7千人は未だに故郷へ帰ることが出来ずにいます。本マップは10年の節目を迎えた、カトリーナの被害と現状を伝えるものです。
※画像をクリックするとマップに飛びます
本マップは ArcGIS Online の「タブ」というテンプレートを使用して作成しています。ページ左上にあるタブでマップを切り替えることができます。
このマップでは、まずカトリーナの軌跡がカテゴリー(ハリケーンの強さ)ごとに色別に表示されています。そして、ルイジアナ州から他州へ避難した人口数を円と色で表しています。(円の大きさが大きく、州の色が明るいほど避難者数が多くなっています。)このマップはアメリカ合衆国国勢調査局のデータをもとに作成されました。州をクリックすると、各州への避難者数が分かります。
ニューオーリンズの街の80%が浸水の被害に遭い、被害総額は1350億ドルに達したと言われています。
このマップでは、衛星画像中央のバーをスライドすると、カトリーナによる浸水被害を見て取ることが出来ます。(左:浸水前、右:浸水後)この衛星画像の範囲は被害のほんの一部にしか過ぎず、多数の場所で堤防が決壊し街全体が被害を受けました。
ニューオーリンズ州の調査により、1万317棟の建物が取り壊しの対象となりました。
歴史的な建物が多いニューオーリンズの街は、被災後、街全体が歴史的環境保全の審査対象となりました。このヒートマップは、その中で連邦政府の助成を受けて取り壊しの対象となった建物の数を示しています。取り壊しの対象となった建物が多いところは赤~黄色で表示されています。ズームインすると建物のポイントが表示され、クリックすることで建物が建てられたおおよその年代が分かります。
2010年の調査によると、ニューオーリンズの人口は2000年と比べ29%も減少しています。
カトリーナの被害はアフリカ系アメリカ人の多かったエリアが最も甚大で、人口も大幅に減少しました。しかし、災害復興事業等の担い手としてラテン系・ヒスパニックの移民が増加し、復興に欠かせない存在となりました。このマップでは青色が濃いエリアほど人口の減少が多く、クリーム色のエリアは人口が増加していることが分かります。クリックをすると、2000年と比べた2010年の人口の詳細が、それぞれのエリアごとに確認できます。 ニューオーリンズの2015年現在の人口は、約38万人と推測されています。2000年と比べるとまだ10万人少ないですが、2010年からは4万人増加しています。
このマップでは被災前と比べ、どれだけの世帯が郵便を受け取っているのか表しています。緑色の濃いエリアは、被災前より増加しています。
2015年、ニューオーリンズはカトリーナの被災前と比べ、89.3%の世帯が郵便を受け取っていることが分かりました。また、ニューオーリンズに72あるエリアのうち、40のエリアで90%以上の家が修復されました。郵便配達データは人々の生活の追跡に重要なデータで、大多数のエリアで年々増加していることが分かりました。それぞれのエリアをクリックして詳細を確認することが出来ます。
ニューオーリンズの街は、13の地区と72のエリアに分かれています。カトリーナは街全体に被害を及ぼしましたが、その中でもMid-City、New Orleans East、Gentilly、the Lower Ninth Ward、Bywater、そしてLakeviewが甚大な被害を受けました。