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首都直下型地震に備える -東京都・目黒区合同総合防災訓練では被災者生活再建支援システムの活用が大きなテーマのひとつに-

 

「防災の日」の9月1日、午前7時に東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の首都直下型地震が発生したとの想定で、平成24年度東京都・目黒区合同総合防災訓練が行われた。震災時における東京都内の自治体および各防災機関との連携強化や地域の防災力向上のため、実践的な訓練を行うのが目的だ。会場の一つとなった都立駒沢オリンピック公園では、東京都が京都大学や新潟大学とともに整備した被災者生活再建支援システムの実施訓練が行われた。ESRIジャパンも開発に携わった一員として参加した。

建物の損壊状況を確認しながら、罹災証明書の交付を行う訓練風景

被災者の迅速な生活再建にまず必要となるのが、地震や火災、風水害などで被災した建物の被害程度を公的に証明する罹災証明書だ。罹災証明書は区市町村によって交付され、義援金や支援金、公共料金の減免などの申請の際に必要になる。この罹災証明書の交付には、建物の被害状況の判定結果に不公平が生じる、調査結果のデータ化に時間がかかるなど課題も多い。今回、訓練が行われた被災者生活再建支援システムでは、迅速かつ公平な罹災証明書交付のため、建物被害の判定基準を明確化し、各世帯の建物被害等のデータを電子地図上で一元管理できるようになっている。

罹災証明書発行システム画面
地図上に一元管理された世帯情報、家屋情報、被災調査の結果、現場写真などを簡単に検索し、証明書を出力できる

被災者生活再建支援システムでは、罹災証明書交付に必要な建物の被害判定基準(内閣府作成)を「屋根の一部がはがれた」「基礎が破壊している」など8つのチェック項目に集約し、イラストで明確化することで調査員による判定のばらつきをなくしている。8つの項目の合計点から自動的に全/半壊などの判定が可能で、結果をスキャナーで自動的に読取り電子地図上に反映する。データ化された被害調査結果は、住民情報、家屋情報とともに罹災証明書発行システムから検索され、申請者の合意を経て、証明書として印刷される。発行された罹災証明書の内容は、被災者台帳と呼ばれるデータベースに自動的に記録され、その後の各種生活再建支援業務に広く活用される仕組みである。

東京都・目黒区合同総合防災訓練では、被災者役の市民への建物の被害状況の説明や罹災証明の交付が区市町村の職員により行われた。被災者生活再建支援システムは、東京都内のいくつかの区において導入が予定されるほか、今後多くの区市町村での活用が期待されている。

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掲載種別

掲載日

  • 2012年9月25日