ユニオンパシフィック鉄道の設備管理
ユニオンパシフィック鉄道は1862年に設立され、米国ミシシッピー川以西の地域で最も多くの土地を所有しています。また全米全体の場合にもアメリカ合衆国政府に次いで2番目の土地所有面積を持っています。これらの多くの所有地は現在使用されている線路に沿って割り与えられた鉄道敷設用地となっています。他の所有地はすでに廃線となった線路沿いの土地、私有林、他の鉄道会社から購入した土地などがあります。大部分の所有地に関しては、大陸横断鉄道を完成させるための奨励制度としてリンカーン大統領時代に合衆国政府より提供された鉄道敷設用地となっており、1869年にユタ州のプロモントリーという場所で開通しました。現在ユニオンパシフィック鉄道は33,000マイル(約52,000キロ)に渡る米国西部の線路を管理しています。
この広大な所有地を管理するのに136年間に渡りこの土地を管理するのが鉄道会社にとって課題となっていました。土地評価マップが作成され、長年に渡る、購入や売却情報を管理するために維持されてきました。しかし長年に及ぶ更新情報や地図の損傷により扱いにくい状態になっていました。このマップに記入されている情報は重要な財政判断を行なうのに使用されるため、不動産部署を始め、鉄道会社全体に情報を広める必要がありました。これらの課題は32,000枚もの土地評価マップがあるためにさらに大きな課題となりました。
このため鉄道会社では効果的なこれらのマップの使用方法についての検討がされました。不動産部門の情報システム部プロジェクトマネージャのジョン・ホーキンス氏は、この課題を解決するには、GISが最も効果的なツールであるというビジョンを持っていました。
「我々は結論に達した」とホーキンス氏は語りました。「我々が直面している多くの課題を解決する方法は、土地評価マップをデジタイズして位置情報を持たせることで新しい位置情報を持ったデータとも関連づけることが可能になります。」
鉄道のベースマップのデータはユニオンパシフィック鉄道のプレシジョンメジャリングビークル(PMV)による非常に正確な情報を元に作成されています。PMVはトラックまたはSUVにカメラ、レーザー、GPSを搭載していて、線路の上を走ることができる車両で非常に正確な路床のGISデータを取得することが可能です。このデータを元に土地評価マップを表示させます。
ユニオンパシフィック鉄道では、15,000枚のデータのデジタイズ作業を入札として提出しました。
この15,000枚は、現在鉄道が運行されている線路のため、位置を特定するのも容易であると
考えられました。ESRIのデータベースサービス部門のESRIプロフェッショナルサービス部の
グループが落札し、GIS業界のリーダーとして適切なソリューションを提案するためにネブラスカ州のオマハのユニオンパシフィック鉄道の本社でプレゼンテーションが行なわれました。
プロジェクトの範囲はスキャンをした米国西部26の州にまたがる土地評価マップに位置情報を与えるというものでした。インデックスのためのポリゴンも作成され、各マップにアクセスがしやすくなりました。マップはArcViewのジオリファレンスツールとエディットツールを使って位置合わせや編集が行なわれました。またGIS Data Reviewerという製品が成果物の品質検査を行なうために
採用されました。
スキャンされたマップを管理していくのは、多くの面で困難だがやりがいのある内容でした。最初マップには、マップを使用するユーザの多くには、全く意味のない名前がつけられていました。最初につけられていた名称は州、鉄道、土地評価セクション番号を元にしていましたが、これをもっと簡単な方法で名称を付け替えました。ユニオンパシフィック鉄道では州の省略名、とインデックス番号を使用することになりました。また技術者がマップの更新や管理に使っていた最初につけられていたオリジナルの名称へのリンクも作成されました。インデックスポリゴンには、2つの名称が保持され、マップは州、鉄道、土地評価セクションの名称を保存しているフォルダに格納されました。
次に困難な情況だったのは、ユニオンパシフィック鉄道へのデータの納品期限を守りながら、1枚も土地評価マップの画像を紛失しないようにすることでした。まずマップの画像データは30枚分のCDとなってESRIに到着し、州毎にわけられ、作業を行なう下請業者へ分配されました。特に難しい情況となったのは、一部のデータは品質検査に合格し、一部は不合格となったことです。不合格のデータは下請業者へ差し戻され、修正を行なう必要がありましたが、短期間での作業スケジュールのため、納品期限を守るには再度修正を行なう時間は用意されていませんでした。このため解決案として下請業者からの納期をグループ毎に分け、品質検査を行い、納期を細かく分け、最終的に品質検査に合格したデータのみをまとめてデータをユニオンパシフィック鉄道に納品することになりました。
15,000枚ものマップの画像の品質を管理するには、GIS Data Reviewer(ESRIのPLTSのコンポーネント)を創造的に使う必要がありました。通常GIS Data Reviewerは品質検査の技術者が新規のデータベースに作成されたサンプルフィーチャに対してエラーがないかをチェックします。発見されたエラーはエラーテーブルに新規で登録されます。この方法は多くの品質検査においては、有効な方法ですが、100%の品質検査を15,000枚の画像に行なうことは現実的ではありません。このためESRIでは、納品別にイメージの一覧をGIS Data Reviewer テーブルに変換しました。技術者がイメージをジオリファレンスする際にジオリファレンスされた画像の中心付近にShapeファイルのポイントを付与しました。このポイントには、GIS Data Reviewerテーブルのレコードと同じObject IDが割り振りました。これにより品質検査を行なう技術者がイメージの位置の確認を行なう際に、GIS Data ReviewerのテーブルのレコードをクリックすることでArcViewアプリケーションのArcMap上の画面が自動で正しい位置を表示されるようにしました。
プロジェクトの完了と共に、ユニオンパシフィック鉄道では、すぐにメリットを得ることができました。不動産部門では、すでにマップを使って不動産に付帯する負債のある場所や鉄道敷設権、売却可能な所有地などの特定を行ないました。ホーキンス氏によるとジオリファレンスを行なったマップは所有地のリサーチを行なうのに計り知ることのできないほど大きな時間の節約をもたらしました。
「他にもたくさんの利用法がある」とホーキンス氏は語っています。「不動産部門で行なう業務はこのマップにかかっています。またさらに当初予定していた用途以外の他の活用方法もみつかっています。鉄道組織内の多くの部署において新しい建物を探すのに有効な活用法と認識しています。」またあるグループではArcGIS上のマップを使って携帯電話のアンテナの設置計画に活用したり、他のグループでは線路に沿った所有地のうち通信用機器の設置場所としてリースが可能な場所の管理などに活用されています。
詳しい情報はユニオンパシフィック鉄道のJohn Hawkins(ジョン・ホーキンス)氏 (e-mail: jlhawkin@up.com) またはESRIのデータベースサービス部門のAdrien Litton(エイドリアン・リットン)氏(e-mail: alitton@esri.com) まで
|
|