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政府が保有する統計情報の集約と公開

総務省統計局

 

計量的比較や時系列比較が容易な地域メッシュ統計の提供により社会経済の発展に貢献

地域メッシュ統計の概要と社会の情報基盤である日本の統計データが閲覧できる政府統計ポータルサイト「政府統計の総合窓口(e-Stat)」の紹介

 

イントロダクション

総務省統計局は、社会経済の変化に的確に対応するため、国勢調査を始めとする国の重要な統計調査を企画・立案し、社会に役立つ正確な統計を作成している。また、日本の政府統計に関する情報のワンストップサービスを実現するポータルサイト「政府統計の総合窓口(e-Stat)」の構築等、インターネット等を通じて統計情報の多角的な提供を行っている。本稿では、国勢調査結果から編成している地域メッシュ統計とそれを公開しているe-Statの「地図で見る統計(統計GIS)」を紹介する。

地域メッシュ統計

地域メッシュは、国土を緯度・経度に基づきすき間なく網の目(メッシュ)の区域に分けたものである。1辺が約1km四方のメッシュを基準地域メッシュといい、それを縦横に2等分した、1辺が約500m四方のメッシュを2分の1地域メッシュという。(図1)

図1:地域メッシュの区画方法
図1:地域メッシュの区画方法

地域メッシュ統計は、上記地域メッシュそれぞれの区域に関する統計データを編成している。特質として、市区町村を単位とした統計に比べて地域毎の計量的比較や時系列比較が容易に行えることが挙げられる。活用例は多岐にわたり、行政機関では、都市計画、防災計画、地域開発の策定などに利用されている。また、民間では、店舗の新規出店候補地選定のための商圏分析だけでなく、地域の経済特性を把握するなど、多くのGIS利用者にとって、地域メッシュ統計は基盤データとして普及している。 地域メッシュ統計の作成にはArcGIS製品を用いて様々なデータの作成や加工を行っている。現在、人口総数(図2)、人口増減数(図3)、65歳以上人口の割合(図4、5)等の項目の地域メッシュ統計地図が作成されている。

図2:平成22年人口総数
図2:平成22年
人口総数

図3:平成22年人口増減数
図3:平成22年
人口増減数

図4:平成17年65歳以上人口の割合
図4:平成17年
65歳以上人口の割合

図5:平成22年65歳以上人口の割合
図5:平成22年
65歳以上人口の割合

 

 

例えば、図4、5は、平成17年と平成22年の65歳以上人口の割合を基準地域メッシュで表したものである。2つを比較すると、都市部を含む全国レベルで高齢化が進み、特に西日本では65歳以上人口の割合が50%以上のメッシュの数(赤色)が大幅に増えているのが分かる。地域メッシュ統計は、各種刊行物や総務省統計局ホームページの他、次に紹介する「政府統計の総合窓口(e-Stat)」でも公開されている。

政府統計の総合窓口(e-Stat)

図6:政府統計の総合窓口(e-Stat)トップページ
図6:政府統計の総合窓口(e-Stat)トップページ

平成20年度に運用を開始した「政府統計の総合窓口 (e-Stat) 」(図6)は、「統計データを探す」、「地図や図表で見る」、「調査項目を調べる」の3つのパートから構成されている。アクセス数は、約1,800万件(平成24年度)で、個人だけでなく、官公庁や大学等の教育機関、学術研究機関、民間企業等、様々な分野で利用されている。現在、政府統計約460統計の統計表約50万表が閲覧可能で、そのうち、基幹統計等約50統計の統計表約6万表についてはデータベースでの利用が可能である。

この中の「地図で見る統計(統計GIS)」では国勢調査などの統計データにより統計地図を作成することができるほか、統計データをダウンロードしてArcGISなどのGISソフトに取り込むことも可能である。e-Statは、平成25年1月のリニューアルに伴い、トップページに検索キーワードランキングを表示したり、検索速度や検索機能の改善を行う等、ユーザビリティも向上した。また、統計GISの背景地図は大きく見やすくなり、操作性や表示速度も向上した。(図7)

図7:地図で見る統計(統計GIS)の操作例
図7:地図で見る統計(統計GIS)の操作例

 

 

まとめ

総務省統計局では、今後も利用者のニーズに合わせたシステムのリニューアルと統計GISの機能強化を予定しており、より便利で高度な統計の利活用を通じて社会経済の発展への貢献を目指している。

 

プロフィール


地域メッシュ担当 左から
田中 由美 氏
有山 花恵 氏
畑中 恵美 氏



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掲載日

  • 2014年1月27日