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事例

配線・配管設備の情報共有が10億ドルの空港拡張工事の鍵に

エドモントン国際空港

 

WebGIS による情報共有で現場での作業や意思決定が効率化

課題

導入効果

概要

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エドモントン国際空港

カナダ アルバータ州にあるエドモントン国際空港(以下、EIA)は、旅客数の増加に対応するため、10 億 1 千万ドルの拡張工事を進めている。拡張前の 5,500 万人の利用規模をほぼ倍にする計画だ。拡張工事では、米国ターミナルをはじめ、広々としたメインターミナル、快適な旅客ラウンジ、30 店舗のショップと飲食店が新たに建設された。また、新しい管制塔、配電所、12 以上の新設ゲート口とボーディングブリッジの建設も進む。

このような大規模な拡張工事プロジェクトは、数百名に及ぶスタッフや現場監督、コンサルタントといった多数の団体が携わるため、関係者間での情報共有が重要な鍵となってくる。EIA では、配線・配管網の管理と工事図面作成の効率化、プロジェクトの進捗状況把握を目的とした WebGIS を導入し、情報の共有化と業務の効率化を実現している。

背景

WebGIS 導入前、EIA の空港技術サービスチームでは、工事現場とユーティリティ配線・配管網の図面を CAD で作成し、現場の作業員に提供していた。作成された図面には、空港敷地内の施設は記載されているものの、施設間の配管網の関連性を分析するための空間的な情報は含まれていなかった。また、作業計画が日々変更される中、図面の修正、印刷、作業員への配布に多くのコストと時間を費やしていた。EIA は、これらの課題を解決するソリューションとして、Web ベースの設備管理アプリケーションの開発を Esri Canada に依頼した。

導入方法

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地上・埋設配管網の閲覧画面

アプリケーション開発の目的は、関係スタッフや現場監督が空港内にある公共設備の配線・配管網に関する正確かつ最新の情報にアクセスできるようにすることだった。加えて、アプリケーションの利用対象者が技術的な知識を持たないため、特別なトレーニングを行わずに必要な情報を Web で配信・提供できることも重要視された。

アプリケーションは ArcGIS API for Silverlight で構築され、役割に基づき情報やツールへのアクセス権を与えることで、データの整合性や精度の維持が図られた。技術サービスチームの担当者はアプリケーションからフォームに記入できるが、プロジェクトに携わるスタッフには閲覧権限のみが与えられる仕組みだ。また、空港内の設備に関する情報、例えば駐機場側と建物側の電力システム、天然ガス、上水道、雨水、下水道、建設プロジェクト、道路網、建物、その他地理データなど、を格納しているデータベースの統合には ArcGIS for Server が導入された。完成したアプリケーションは、工事作業が最盛期を迎える 2011 年 6 月から利用が始まった。

成果

「GIS アプリケーションの利用で、埋設設備の位置情報に関する問い合わせ対応が非常に効率的になった」と拡張プロジェクトで空港内設備の位置情報サービスを提供している 3D-Line Locating 社(カナダ アルバータ州ソースビー)のジェリット・パーディ氏はいう。「図面を作成し現場のスタッフに情報を配信することで、今まで利用していた CAD の図面システムに比べて時間がかからなくなった。現場での時間の短縮や、建設スケジュールをスムーズに進めることにつながっている」

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埋設設備位置確認票

技術サービスチームが作成し配信する位置情報レポートの質は格段に向上している。現場を映したかのような図面を作成し、現場で最良の決断を導くための洞察力あるレポートが配信されるようになった。また、配線・配管網を含む空港内設備データと事業計画データの表示を統一したことで、スタッフや現場作業員の間により良いコミュニケーションとチームワークも生まれている。セルフサービスポータルから建物、道路、駐車場などの基本的な空港情報を簡単に利用できるので、社内スタッフから技術サービスチーム宛に届く現場に関する問い合わせ数が減り、技術サービスチームの面々が他の仕事に従事する時間が取れるようになったことも大きな成果だ。

 

まとめ

EIA は、国際航空輸送学会からカナダ国内で最も効率的な空港であると評された。多くの利益をもたらす GIS は、EIA が提供するサービス水準をさらに向上させる重要な情報管理システムであるとともに、市民に EIA の開発計画や進捗状況を効果的に伝達するツールとしても利用されている。

 

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掲載日

  • 2014年1月28日