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| 掲載日:2007年3月30日 | |
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2006年11月7日、カリフォルニア州ロサンゼルスで、36.1℃の過去最高気温を記録した。その事実をアル・ゴア氏は深刻に受け止めた上で、「11月にこの暑さは異常だ」という。この日は選挙投票日で、前米国副大統領は遊説の真只中にいた。が、今日もゴア氏は立候補者としてではなく、地球温暖化防止を訴えるための遊説を続けている。地球温暖化の深刻さを警告し、映画「不都合な真実」、同タイトルの書籍、そして講演を通して彼のメッセージを多くの人々に伝えようとしている。 奇しくも過去最高気温を記録したこの夜、カリフォルニア州レッドランズ市のレッドランズ大学構内メモリアルチャペルでゴア氏は講演会を行った。2時間近くにわたり、この差し迫る環境災害を人類がどう引き起こし、またどう解決できるかについて語った。ゴア氏は、温暖化阻止の方策として、資源の持続的再利用へ投資することで健全な利益を生み出すことが十分可能であると強く示唆した。(写真:レッドランズ大学にて、自著「不都合な真実」にサインするアル・ゴア氏) 温暖化のメカニズムは単純だ。太陽エネルギーが地球の大気に突入し大気を暖める。通常では太陽エネルギーの何割かは大気の温度の変化をある程度の範囲に収めるように働く。しかし、人間が排出する二酸化炭素と温室効果ガスがさらに多くの太陽エネルギーを閉じ込めることで、今日、大気の温度は危険なまでに上昇している。このメカニズムは簡単に理解できる概念である一方、温暖化に対する間違った解釈や無関心さから、この大きな危機への正しい認識が失われているようだ。ゴア氏は、人々を真実に目覚めさせるために、この危機的な状況を分かりやすく説明している。 ゴア氏の講演(スライドショー)は、写真、図、グラフなどで構成され、地球を取り巻く環境が劇的に変化していることを膨大な根拠をもとに示している。過去と現在の氷河の写真が映し出される。氷河が急速に消滅しつつあることがわかる。かつてキリマンジャロを覆っていた万年雪はそのほとんどが失われている。山火事の規模も発生頻度も大幅に増加している。気温の上昇が熱波を引き起こす。また、ハリケーンカトリーナ並の規模と強さの破壊的な暴風雨の発生が今後も予測されている。ここ14年の間に年間平均気温の最高記録を10回更新するなど、大気の温度は容赦なく上昇している。海水温は生物の生存限界域外へと向かっている。このような崩壊は、各地域で降水量および降水地域の偏りを引き起こし、土壌内の水分の蒸発が水不足による何千もの気候難民を生み出す。また、グリーンランド、北極、南極に広がる海氷も急速に減少している。これら全ての変化は、デリケートな環境のバランスに影響を与え、種の減少、保菌生物や感染症の拡大などの恐ろしい結果として現れている。科学を知る我々がこのような事実を目の当たりにして、何をしなければならないかは自明の理であろう。 <モラルの問題> ゴア氏は最近になって環境について語り始めたわけではない。ハーバード大学の学生だった頃に、大気中の二酸化炭素濃度を長期にわたり計測した一人であるRoger Revelle教授のもとで環境について学んでいた。1976年に米国議会に参加してからは、地球温暖化について初の議会聴聞会を開くとともに、米国上院議員、副大統領に就任してからも温暖化問題に対する国民の認識を高める活動を続けた。ゴア氏の最初の著書である「Earth in the Balance」は1992年のベストセラーとなった。また、スライドショーによる講演も実に1,000回を超えている。 ゴア氏は、現在の政治システムが不完全であるため、このような形でのキャンペーンを立ち上げることになったと語った。「これは政治的問題ではなく、道徳的、倫理的、精神的な問題である」という。人類は道徳的権威を取り戻す時期にきており、人々の生き方、考え方を変えていく必要がある。主として若者をターゲットとし、次世代を担う人々の間でこの切実な問題を解決する使命感の共有を強く求めている。テロリズムだけでなく、未来に起こりうるその他の脅威についても考えるべきだと彼は聴衆に語った。聴衆の関心を惹く材料のひとつとして、もし氷冠のひとつが溶けて海へ滑り落ち海面が約6m上昇したら世界地図がどのように描き換えられるかということを取り上げている。 人間の活動は、人口の増加、科学と技術の進歩、人々の考え方の3つの領域において自然とぶつかりあっている。わずか1世代で地球の人口は20億から90億人に増加した。この目覚しい変化は、世界の自然資源を非常に圧迫している。古い慣習と結びついた技術の進歩はしばしば地球を一変するような予期せぬ結果をもたらす。「私たちは新たな英知を今まで身につけてきた技術に当てはめる必要がある」とゴア氏は語った。 これらの問題を分かりやすく説明することは、無関心と困惑、喧伝された偽りの概念によって狂わされた人々の考え方を変化させる兆となっていく。地球温暖化を遠く離れた抽象的概念としてみるのではなく、現実に実在する問題として考えるようにとゴア氏は呼びかけている。 「民主的な対話」と呼ばれる話し合いを始めるために、ゴア氏はCurrent TVという独立したメディア会社を立ち上げた。ニュース、ケーブルテレビや衛星ネットワークの番組が若者向けに企画され、気に入ったビデオや自分だけの番組の組立て方についてオンラインでインストラクションを受けることができる。 ゴア氏が運営するもうひとつのビジネスベンチャーであるGeneration Investment Managementは、持続可能な環境活動を組織に取り入れている企業家に投資する世界規模の基金である。この基金では、短期ではなく長期にわたり価値を生み出し、それを維持する能力のある会社へ投資するというゴア氏の戦略が体現されている。これは、短期的な投資による利益追求を必ずしも良しとしない投資傾向の端緒でもある。 長期的な投資を遠大なビジョンでもって受け入れることは、ビジネスリーダが経営判断の効果を評価するために必要となる。長きにわたりどのように事業の収益性を維持していくかを判断することは、環境、地域への影響、長期雇用育成の可能性や効果について分析することにつながる。社会的、環境的、地政学的な問題のような漠然とした側面について考慮することは、経済の活力を縮小させるというよりはむしろ、大きな成長を約束する。政府が炭酸ガス放出の強制的制限をはじめると、経営計画に環境維持を導入している企業には利益がもたらされるのである。 <行動の時> ゴア氏は言う、「地球は私たちのたった一つの故郷であり、私たちはその故郷を守るための術を持っている。あとは、施策の問題だ」。物の見方が変われば、考え方(やり方)はついてくる。環境保護運動の広がりと炭素ガス排出量売買システムの導入がおこなわれている市場の成長には希望がもてる。Ford、IBM、Motorolaといった巨大ビジネスが、温室ガス排出の削減を自発的に約束した。これらの温室ガス排出は、交易可能なクレジットに変換される。Wal-Mart、General Electricといったその他の企業も、地球温暖化を縮小するためのイニシアチブを発表した。 地球温暖化汚染を制限した画期的な京都議定書を多くの国々が批准した一方、米国は批准しなかった。そのかわり、米国300都市以上が個別に本条約を批准し、条約に沿った政策を導入した。コロラド州ボールダーの住民は、炭素ガスの使用について税金をかけるための投票を行った。石炭への課税は、地球温暖化ガス排出削減を目的としている。また、2005年、モンタナ議会は電力の最低15%を再生可能なエネルギーから生み出すよう電力会社に求める法律を定めた。 ゴア氏の著書「不都合な真実」の中で、彼は「環境危機についての真実は、私たちが生きていく上での習慣を変えていく必要があるという意味で不都合なことのひとつである」と述べている。また、この責務を容易にするために、何をすべきか、どのように始めれば良いかについて言及している。ゴア氏のWebページでは、エネルギー消費を減らすこと、エネルギー効率の良い家電を選ぶこと、節水すること、地域のリサイクルプログラムに参加すること、賢く運転すること、消費を減らすこと、再利用すること、他の人に地球温暖化について知らせることで、個人がどのくらいのインパクトを気候に与えられるかを数値で示している。 ゴア氏のレッドランズ大学での講演は、一部ESRI社のサポートにより行われた。多くのESRIソフトウェアユーザが地球温暖化を和らげる取り組みに参加している。水やその他の資源への気候変動のインパクトの研究、人口移動の影響の測定、地域保護計画の導入事業といったプロジェクトに、世界中の様々な分野にわたるGIS専門家が取り組んでいる。 |
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