神戸は、生き生きとした美しいまちです。しかし、1995年1月にはマグニチュード7.2の大地震(阪神淡路大震災)に見舞われ、特に長田区は甚大な被害を受けました。震災以降、様々な人々の努力により復興が進められてきましたが、現在でもなお、環境面、社会面等、様々な課題を抱えています。このような状況の中、気候環境の視点から都市計画を支援するための、GISアプリケーションとして「都市環境気候図」が提案されています。
日本の多くの都市と同様に、神戸の気候は高温多湿です。神戸大学の田中貴宏研究員と森山教授を中心とする都市気候研究グループは、神戸の気候に適応したまちづくりを支援するためのGISソリューションを開発しました。この「都市環境気候図」は、気候環境の専門家が提供する情報を、市民やプランナー、地方自治体などへ伝えることを目的としています。プランナー等、建設活動に携わる人たちはこのアプリケーションを用い、まちの気候を考慮に入れながら計画を策定することが可能となります。具体的には、風の流れを活かす方法や、建築物や公園の配置を工夫することで市民により涼しい気候を提供する方法などを検討することができます。なお、このような都市気候の管理においては、地形、地区の建ぺい率、風向と風速、土地利用、人工排熱、風の発生場所などといった要素を考慮する必要があります。
この都市環境気候図では、自治体や気象台の観測データ、ヘリコプターから撮影された熱赤外画像などが利用されています。また、ベースマップは自治体から提供されています。
この都市気候アプリケーションの作成にあたってはArcGISを利用され、建ぺい率、緑地(クールスポット)、駐車場(ホットスポット)、熱赤外画像、時刻ごとの風の変化などのデータレイヤが作成され、それらをもとに、各要素を合成したマップが作成されました。「都市環境気候図」では、神戸の都市気候の現状、および計画指針が表現されており、まちづくりにおける有意義なツールとして役立つことが期待されています。
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| 神戸市長田区の気候解析図(プランナーが気候を把握する際に役立ちます。) |
「都市環境気候図」では計画指針図も作成されています。これはアドバイスマップ(ヒントマップ)であり、快適な気候を得るために改善すべきエリアや保護すべきエリアが示されています。プランナーは、広域の「都市環境気候図」を使って都市全域の計画や、都市ヒートアイランド現象緩和のための政策を構想する際に気候に配慮することができ、狭域のマップは、地区の計画や建築計画を行う際に利用できます。
まちづくりワークショップでは、プランナーや市民、自治体、気候環境専門家がこれらの「都市環境気候図」を使って、環境と共生したまちを設計するための方策を論じました。このワークショップでは、都市気候の専門家でない人でも「都市環境気候図」を理解でき、これを有効に利用できたと報告されています。
この記事の情報や記事を提供して下さった神戸大学田中貴宏研究員にお礼を申し上げます。このアプリケーションの詳しい情報については、tanaka@kobe-u.ac.jpまでお問い合わせください。
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| 風の様子(風向と風速を示しています。) |
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| 人工排熱分布 |
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